情シスの「見える化」― IT資産台帳・構成図・手順書のテンプレートと作り方
「IT担当が辞めたら何も分からなくなった」― これは中小企業で最も多く聞くIT関連の悩みの一つです。IT環境の情報がIT担当者の頭の中にしかなく、退職と同時にブラックボックス化してしまうケースは後を絶ちません。
本記事では、情シス業務を「見える化」するための3つの基本ドキュメント(IT資産台帳、ネットワーク構成図、運用手順書)の作り方を解説します。
なぜ「見える化」が必要か
属人化の防止
IT担当者の退職・異動時に引き継ぎが困難になります。「管理者パスワードを知っているのは前任者だけ」という状態は、事業継続リスクそのものです。
インシデント対応の迅速化
障害発生時に、影響範囲の特定やベンダーへの連絡にIT構成情報が不可欠です。構成図がなければ、障害箇所の特定すらできません。
セキュリティ対策の前提
IT資産を把握していなければ、セキュリティ対策の抜け漏れが発生します。「管理されていない端末」「把握していないSaaS」がセキュリティの最大の盲点です。
ドキュメント1: IT資産台帳
管理対象
PC・タブレット・スマートフォン、サーバー(物理・仮想・クラウド)、ネットワーク機器(ルーター、スイッチ、Wi-Fi AP)、複合機・プリンター、SaaS・クラウドサービスのライセンスが主な管理対象です。
台帳に含める項目
ハードウェアの場合、資産番号、機種名、シリアル番号、購入日、保証期限、使用者、設置場所、OS・スペック、管理状態を記録します。
SaaSの場合、サービス名、契約プラン、契約者、月額費用、更新日、利用者数、管理者アカウント、SSO連携の有無を記録します。
ツール
小規模(端末50台以下)であればExcel / SharePointリストで十分です。それ以上の規模ではIT資産管理ツール(Lanscope、SKYSEA等)の導入を検討します。Microsoft Intuneのデバイス一覧も、PC資産台帳のベースとして活用できます。
ドキュメント2: ネットワーク構成図
最低限含めるべき情報
インターネット回線(プロバイダ、回線種別、契約番号)、ルーター / ファイアウォール(型番、IPアドレス、管理画面のURL)、スイッチ(VLAN構成)、Wi-Fiアクセスポイント(SSID、設置場所)、サーバー(役割、IPアドレス)、セグメント構成(VLAN / サブネット)を含めます。
作成ツール
draw.io(無料)が最も手軽です。Microsoft Visioを持っていればそちらも良いですが、draw.ioで十分な品質の構成図が作成できます。重要なのは「正確であること」と「更新され続けること」です。
メンテナンス
ネットワーク機器の追加・変更時に必ず構成図を更新するルールを設けます。更新日と更新者を記録し、四半期に1回は実態との整合性を確認します。
ドキュメント3: 運用手順書
優先的に手順化すべき業務
入退社時のアカウント作成・削除手順、PCキッティングの手順、バックアップの確認手順、障害時の一次対応手順、各サービスの管理者ログイン手順を優先的に手順化します。
手順書の書き方
手順はスクリーンショット付きで、ITに詳しくない人でも実行できるレベルの粒度で記述します。「設定画面を開く」ではなく「ブラウザで https://admin.microsoft.com にアクセスし、左メニューの『ユーザー』をクリック」のように具体的に記述します。
保管場所
手順書はSharePoint上のドキュメントライブラリなど、IT担当者以外もアクセスできる場所に保管します。IT担当者のPCのローカルに保管するのは、属人化の元凶です。
メンテナンスの仕組み化
ドキュメントは作って終わりではありません。四半期に1回のIT資産棚卸し、機器追加・変更時の構成図更新、手順変更時の手順書更新を仕組み化します。カレンダーにリマインダーを設定し、定期的な見直しを習慣にしましょう。
情シス365では、IT資産台帳の整備、ネットワーク構成図の作成、運用手順書の整備を、IT運用代行サービスの一環として提供しています。「何から手をつければいいか分からない」という方は60分無料相談からどうぞ。