情シスアウトソーシング成功事例3選 ― 導入企業の課題・選定理由・効果をリアルに解説

情シスアウトソーシングの導入を検討するとき、「実際に導入した企業はどうなったのか」が最も気になるポイントではないでしょうか。

本記事では、情シスアウトソーシングを導入して成果を上げた3つのパターンを紹介します。いずれも特定の企業名は伏せていますが、中小企業のIT支援の現場でよく見られる典型的な成功パターンです。

事例1:IT担当ゼロ・社員20名の不動産会社

導入前の課題

社員約20名の不動産会社で、IT専任者がいない状態が続いていました。PCトラブルは事務の社員が「なんとなく」対応し、Microsoft 365の管理者アカウントは退職した前任の設定がそのまま残っていました。パスワードポリシーもなく、全社員が同じ簡単なパスワードを使い回している状態です。

社長は「いつか大きなトラブルが起きる」と漠然とした不安を感じていましたが、IT担当を正社員で雇用するほどの業務量はなく、何から手をつければよいかもわかりません。

導入内容と経緯

月額固定の情シスアウトソーシングを導入。まず初月にIT環境の現状調査(アカウント棚卸し、ネットワーク構成確認、ライセンス状況整理)を実施し、そこから優先度をつけて改善に着手しました。

最初の3か月で実施したのは、退職者アカウントの停止(8アカウントが生きたまま放置されていた)、多要素認証の全社導入、パスワードポリシーの設定、Microsoft 365管理者アカウントの整理、そして基本的なセキュリティ設定(BitLocker有効化、メールの外部転送制限)です。

成果

セキュリティの基盤が整っただけでなく、「PCの調子が悪いときに相談できる先がある」という安心感が社員のストレス軽減につながりました。月額の費用は正社員を雇用する場合の3分の1以下で、しかもセキュリティの専門知識を持つ担当者に対応してもらえるようになりました。

導入から1年後、取引先からISMS認証の取得を求められた際にも、すでにセキュリティ基盤が整っていたため、追加の対応が最小限で済んでいます。

事例2:ひとり情シスの負荷軽減・社員60名の製造業

導入前の課題

社員約60名の製造業。1名のIT担当者がすべてのIT業務(ヘルプデスク対応、PC調達・キッティング、ネットワーク管理、社内システム運用、セキュリティ対応)を担っていました。

問い合わせは1日平均5〜8件、PC入替が年間15台、さらにファイルサーバーのSharePoint移行プロジェクトも求められている状況です。IT担当者は慢性的な残業状態で、本来やりたいSharePoint移行やIT戦略の企画にまったく時間を割けていませんでした。

導入内容と経緯

「全面外注」ではなく「一部切り出し」の形でアウトソーシングを導入。具体的には、L1ヘルプデスク(パスワードリセット、Office操作の問い合わせ、プリンター不具合など定型的な対応)とPCキッティング作業を外注し、IT担当者はL2以上の対応とプロジェクト業務に集中する体制にしました。

外注先との業務分担は「対応フロー図」と「エスカレーション基準」を文書化し、どのレベルの問い合わせを誰が対応するかを明確にしています。

成果

IT担当者のヘルプデスク対応時間が1日あたり約3時間から30分に削減。空いた時間でSharePointへのファイルサーバー移行を6か月で完了し、さらに入退社時のIT手続きをPower Automateで自動化するプロジェクトにも着手できました。

IT担当者本人の満足度も大幅に向上し、「ようやく情シスらしい仕事ができるようになった」というコメントが印象的です。

事例3:M&A後のIT統合・親会社100名+買収先30名

導入前の課題

社員約100名のサービス業が、社員30名の同業他社を買収。親会社はMicrosoft 365を利用、買収先はGoogle Workspaceを利用しており、メール・ファイル・グループウェアの基盤がまったく異なる状態でした。

経営統合のスケジュールは半年後。しかし社内にテナント統合やデータ移行の経験を持つ人材はおらず、ITインフラの統合計画が白紙のままでした。親会社のIT担当者は1名で、通常業務に加えて統合プロジェクトを担うのは不可能です。

導入内容と経緯

IT PMI(M&A後のIT統合)の経験を持つ外部パートナーに、プロジェクト型でアウトソーシングを依頼。まず買収先のIT環境調査(アカウント数、利用SaaS、ネットワーク構成、セキュリティ設定)を2週間で実施し、統合方針を策定しました。

統合方針として「買収先をMicrosoft 365に移行する」方向に決定。Google WorkspaceからMicrosoft 365へのメール・ファイル移行、Entra IDへのアカウント統合、セキュリティポリシーの統一を3か月かけて段階的に実施しました。

成果

当初の半年という期限内にIT統合を完了。統合にかかった外部費用は約300万円でしたが、Google Workspaceのライセンス費用(年間約90万円)が削減され、重複していたSaaSの整理でさらに年間約60万円の削減効果が出ました。つまり2年で投資を回収できる計算です。

それ以上に大きかったのは、統合後の社員のストレスが最小限で済んだことです。事前に移行スケジュールを周知し、操作研修を実施し、移行直後の2週間は臨時のヘルプデスク窓口を設けたことで、現場からの不満やトラブルがほとんど発生しませんでした。

3事例に共通する成功要因

3つの事例に共通するのは、以下の3点です。

第一に、現状把握からスタートしていること。いきなり改善策を実行するのではなく、まず「今どうなっているか」を正確に把握してから優先順位をつけています。第二に、期待値をすり合わせていること。何を外注し、何を社内で対応するかの線引きが明確で、SLAや対応フローが文書化されています。第三に、経営層の理解があること。ITアウトソーシングを「コスト」ではなく「投資」として経営判断しており、導入後の効果も定量的に把握しています。

情シスアウトソーシングは「丸投げ」では成功しません。自社の課題を明確にし、適切なパートナーと適切な範囲で協力関係を築くことが、成功の鍵です。

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