ゼロ情シスからの脱出 ― IT担当者がいない会社がまずやるべき5つのこと
「うちにはIT担当者がいないんです」。中小企業の経営者との会話で、驚くほど頻繁に耳にする言葉です。
従業員30人の会社で、総務の担当者が「パソコンに詳しいから」という理由でIT周りも兼任している。ルーターが壊れたら社長が電気屋に走る。そんな「ゼロ情シス」の状態は、実は日本の中小企業のかなりの割合を占めています。
問題は、この状態が「いつか大きなトラブルにつながる」のではなく、「気づかないうちにすでにリスクを抱えている」ことです。本記事では、ゼロ情シスの会社がまず最初に取り組むべき5つのステップを解説します。
ステップ1:IT資産を「見える化」する
最初にやるべきことは、自社にどんなIT資産があるかを把握することです。PC、サーバー、ネットワーク機器、プリンター、業務で使っているソフトウェアやクラウドサービス。これらを一覧表にまとめましょう。
Excelで十分です。機器名、メーカー、型番、導入日、利用者、管理番号を記録するだけで、IT管理の第一歩になります。「何があるか分からない」状態こそが最大のリスクです。
ステップ2:アカウントとパスワードを一元管理する
退職した社員のメールアカウントがそのまま残っている、管理者パスワードを誰も知らない、複数のサービスで同じパスワードを使い回している。ゼロ情シスの会社では、こうした状態が常態化していることが多いです。
まずは、すべてのサービスの管理者アカウントとパスワードを一つの場所にまとめましょう。パスワード管理ツール(1PasswordやKeePassなど)の導入が理想ですが、最初はExcelに記録して金庫で保管するだけでも大きな前進です。
ステップ3:バックアップの仕組みを作る
データが消失したときに復元できる仕組みがなければ、PCの故障やランサムウェア攻撃で事業が止まります。
クラウドストレージ(OneDriveやGoogle Drive)を活用すれば、追加コストなしで基本的なバックアップが実現します。Microsoft 365を利用しているなら、各ユーザーのデータをOneDriveに保存する設定にするだけで、PC故障時のデータ消失リスクを大幅に減らせます。
ステップ4:セキュリティの最低ラインを守る
ゼロ情シスの会社でもすぐに実行できるセキュリティ対策があります。
OSとソフトウェアを常に最新の状態に保つこと。Windows Updateの自動更新を有効にするだけでも、既知の脆弱性を突いた攻撃の多くを防げます。
全員にMFA(多要素認証)を設定すること。Microsoft 365やGoogleアカウントのMFAは無料で利用でき、設定も難しくありません。MFAを有効にするだけで、不正アクセスの99.9%を防げるとされています。
ウイルス対策ソフトを全PCに導入すること。Windows 11に標準搭載のMicrosoft Defenderでも基本的な保護は可能です。
ステップ5:「困ったときの相談先」を確保する
ゼロ情シスの最大の問題は、トラブルが起きたときに相談できる相手がいないことです。ネットワークが止まった、PCがウイルスに感染した、メールが送れない。こうした事態に対して、社内に知見がなければ対応が大幅に遅れます。
選択肢は3つあります。ITに詳しい人材を採用する(コストと難易度が高い)、社員のITスキルを育成する(時間がかかる)、外部のITサポートサービスと契約する(すぐに始められる)。
多くの中小企業にとって、最も現実的なのは3つ目の選択肢です。月額数万円から利用できる情シスアウトソーシングサービスを「かかりつけ医」のように活用することで、ゼロ情シスの状態を脱却できます。
ゼロ情シスを放置するリスク
「今まで問題なくやってきたから大丈夫」という考えは危険です。ゼロ情シス状態で実際に起きたインシデントとして、退職者のアカウントから顧客データが流出した、ランサムウェアに感染してバックアップがなく1ヶ月分のデータを失った、ルーターのファームウェアが5年間更新されておらず脆弱性を突かれた、といった事例があります。
これらはいずれも「専任の管理者がいれば防げた」ものばかりです。
まとめ
ゼロ情シスからの脱出は、いきなり完璧なIT管理体制を構築することではありません。まずは5つのステップ(資産の見える化、アカウント管理、バックアップ、セキュリティの最低ライン、相談先の確保)から始めて、少しずつ改善していけば十分です。
「何から手をつけていいか分からない」状態であれば、まずは現状のIT環境を専門家に診てもらうことをお勧めします。情シス365の無料相談では、ゼロ情シスの会社に向けた具体的な改善ステップをご提案しています。
まとめ・ご相談
セキュリティ対策の強化をご検討の方は、Security365(セキュリティ運用・SOCライト)をご覧ください。
貴社のIT課題について、まずは60分の無料相談でお気軽にご相談ください。