ソフトウェア業 従業員数:〜100名

IT担当者の退職によるゼロ情シスを解消 ― 引き継ぎ・運用・次任者への橋渡しまで

Support365Security365Project365

導入の背景

Y社は従業員約100名、3拠点を展開するソフトウェア企業です。自社プロダクトの開発に注力する一方で、社内ITインフラの管理はこれまで1名の担当者がすべてを担っていました。

その担当者が退職することになり、社内のIT環境を管理できる人材がいなくなる「ゼロ情シス」状態に直面しました。ソフトウェアの開発エンジニアは多数在籍していますが、社内のネットワーク設計やオンプレミスサーバーの運用、クラウドインフラの管理といったITインフラ領域に精通した人材はおらず、トラブル発生時の対応に不安を抱えていました。

さらに、事業拡大に伴う新拠点の開設が控えており、ネットワークの設計・構築を行える要員の確保が急務でした。

抱えていた課題

Y社がご相談時に抱えていた課題は、大きく3つありました。

IT担当者の退職でIT管理が空白になる。 オンプレミスサーバーの運用、AWSのクラウド環境管理、Microsoft 365のアカウント管理、ネットワーク機器の保守。これらすべてを1名の担当者が属人的に管理していたため、退職後に誰も引き継げる状態ではありませんでした。ドキュメントも十分に整備されておらず、管理者アカウントの情報やネットワーク構成の詳細が担当者の頭の中にしかない状態でした。

トラブル発生時に対応できる体制がない。 ソフトウェア企業であるため社内にエンジニアは多いものの、ITインフラの領域は専門外です。サーバーの障害、ネットワークの不調、セキュリティインシデントが発生した場合に、適切に対応できる人材がいませんでした。

新拠点の開設に伴うネットワーク構築が必要。 事業の拡大に伴い新拠点の開設が予定されていましたが、ネットワークの設計・構築・既存拠点との接続を行えるエンジニアが社内にいない状態でした。

支援の全体像 ― 前任者から次任者への「橋渡し」

情シス365によるY社への支援は約1年間にわたりました。前任のIT担当者から引き継いだ知見を体系的にドキュメント化し、日常運用とプロジェクト対応を行いながら、新たに入社したIT担当者への引き継ぎまでを完遂してプロジェクトを終了しています。

フェーズ期間内容
引き継ぎ・立ち上げ1ヶ月目前任者からのヒアリング、管理情報の棚卸し、ドキュメント整備
運用・プロジェクト遂行2〜10ヶ月目日常IT運用、セキュリティ強化、新拠点開設、サーバーリプレイス・移行
次任者への引き継ぎ11〜12ヶ月目新任IT担当者へのナレッジ移転、OJT、引き継ぎ完了
プロジェクト完了12ヶ月目自走体制の確立を確認し、支援終了

フェーズ1:前任者からの引き継ぎとドキュメント整備(1ヶ月目)

情シス365はまず、退職予定の前任担当者からの引き継ぎを最優先で実施しました。限られた引き継ぎ期間(約1ヶ月)の中で、前任者の頭の中にしかなかった情報を体系的に整理・文書化しました。

管理者アカウントの棚卸し: Microsoft 365のグローバル管理者、AWSのルートアカウントおよびIAMユーザー、オンプレミスサーバーの管理者権限、ネットワーク機器(ルーター・スイッチ・ファイアウォール)の管理画面へのアクセス情報をすべて洗い出し、安全な方法で保管しました。

IT資産台帳の作成: PC・サーバー・ネットワーク機器の一覧、利用中のクラウドサービスとライセンス契約、回線・保守契約の一覧を作成。前任者の記憶に頼っていた情報を、誰でも参照できるドキュメントとして整備しました。

ネットワーク構成図の作成: 3拠点のネットワーク構成を調査・図面化。VPNの設定情報、IPアドレス体系、VLAN構成などを文書化しました。

運用手順書の作成: 日常的に発生する運用作業(バックアップ確認、アカウント作成・削除、障害時の一次対応など)の手順書を作成しました。

これらのドキュメントは、情シス365が運用を行うためだけでなく、将来の後任者へ引き継ぐことを前提に設計しました。

フェーズ2:日常運用とプロジェクト遂行(2〜10ヶ月目)

IT運用(Support365)

引き継ぎ完了後、Y社の情シス業務全般を継続的に支援しました。

ヘルプデスク対応: 社員からのIT関連の問い合わせ(PC不調、アカウント関連、ソフトウェアの設定など)に対応。リモートでの対応を基本としつつ、物理的な対応が必要な場合は拠点を訪問しました。

オンプレミスサーバーの維持管理: 既存のオンプレミスサーバーの死活監視、バックアップの確認、OSパッチの適用、ハードウェアの保守対応を実施しました。

クラウド環境の運用: AWSのインフラ運用(EC2、RDSなどのリソース監視、コスト最適化、セキュリティグループの管理)と、Microsoft 365の管理(アカウント管理、ライセンス管理、Exchange Online / Teams / SharePointの設定変更)を代行しました。

入退社対応: 新入社員のアカウント作成・PCキッティング、退職者のアカウント無効化・データ保全を、人事部門と連携してフロー化しました。

セキュリティ対策(Security365)

前任者の退職を機に、これまで手が回っていなかったセキュリティ面の強化にも着手しました。

アカウントセキュリティの強化: Microsoft 365のMFA(多要素認証)を全社展開。管理者アカウントの棚卸しと権限の最小化を実施し、不要な管理者権限を整理しました。

セキュリティポリシーの整備: パスワードポリシー、デバイス管理方針、情報の取り扱いルールなど、基本的なセキュリティポリシーを文書化しました。

プロジェクト対応(Project365)

日常運用と並行して、以下のプロジェクトを遂行しました。

新拠点開設対応: 事業拡大に伴う新拠点の開設では、ネットワーク環境の設計から構築、既存拠点との接続までを対応しました。新拠点の規模・用途・将来的な拡張性を考慮したネットワーク設計を行い、ルーター、スイッチ、アクセスポイントなどの機器選定・調達・設置・設定を実施。既存拠点との拠点間VPNを構築し、開設日までに安定した環境を準備しました。

サーバーリプレイス・移行: 老朽化していたオンプレミスサーバーのリプレイスを実施しました。新サーバーの設計・調達を行い、既存サーバーからのデータ移行・アプリケーション移行を計画的に実行。業務への影響を最小限に抑えるため、移行スケジュールの策定、事前検証、切り替え当日の立ち会い、切り替え後の動作確認までを一貫して対応しました。

フェーズ3:次任者への引き継ぎとプロジェクト完了(11〜12ヶ月目)

支援開始から約10ヶ月が経過した頃、Y社に新たなIT担当者が入社しました。情シス365は約2ヶ月をかけて、この新任担当者への引き継ぎを実施しました。

体系化されたドキュメントによる引き継ぎ: フェーズ1で前任者から引き継いだ情報をもとに作成し、運用期間中に継続的に更新してきたドキュメント一式(IT資産台帳、ネットワーク構成図、管理者アカウント一覧、運用手順書、セキュリティポリシー、ベンダー・契約一覧)を新任担当者に引き渡しました。

OJTによる実務移転: ドキュメントだけでは伝わらない運用のコツや判断基準を、実際の業務を一緒に行いながら移転しました。ヘルプデスク対応の実践、サーバーの運用監視、アカウント管理のフローなど、日常業務を新任担当者が主導で行い、情シス365がサポートする形で段階的に移行しました。

自走体制の確認とプロジェクト終了: 新任担当者が単独で日常運用を回せることを確認し、約1年間の支援プロジェクトを終了しました。

情シス365の関わり方

リモートでの対応を基本としつつ、ネットワーク構築やサーバーリプレイスなど物理的な対応が必要な場面では各拠点を訪問するハイブリッド型の支援体制を取りました。

本プロジェクトの特徴は、情シス365が「永続的な外注先」ではなく、前任者と次任者をつなぐ「橋渡し役」としての役割を果たした点です。前任者から属人的な知見を引き出してドキュメント化し、運用しながら改善・更新を重ね、最終的に次任者が自走できる状態を作って引き渡す。この一連の流れを1年間で完遂しました。

導入後の成果

トラブル発生時の対応がスムーズになった。 支援期間中、ネットワーク障害やサーバーの不調が発生した際にも迅速に対応できる体制が確立されました。以前は「誰に聞けばいいか分からない」状態でしたが、情シス365が窓口となることで、問題の切り分けから復旧までの時間が大幅に短縮されました。

ゼロ情シスの不安がなくなった。 IT担当者の退職後に経営層・社員の双方が抱えていた「社内で誰もITのことが分からない」という不安が、情シス365の継続サポートにより解消されました。

前任者→情シス365→次任者の引き継ぎチェーンが完成した。 本プロジェクトの最大の成果は、属人的だったIT管理の知見が体系化されたドキュメントとして残り、新任担当者に確実に引き継がれたことです。「前任者が辞めたら何も分からなくなる」という問題が、ドキュメントと手順の整備によって構造的に解決されました。今後IT担当者が再び交代する場合にも、同じドキュメントをベースに引き継ぎが行えます。

プロジェクト概要

項目内容
業種ソフトウェア業
従業員規模〜100名
拠点数3拠点
支援期間約1年(完了済み)
提供サービスSupport365 / Security365 + Project365
主な施策前任者からの引き継ぎ・ドキュメント整備、オンプレサーバー維持・リプレイス・移行、AWS/M365クラウド運用、IT資産台帳整備、MFA全社展開、セキュリティポリシー策定、新拠点ネットワーク設計・構築、次任者へのナレッジ移転・OJT

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