海外在住メンバーとのコミュニケーション課題をMicrosoft 365で解決
導入の背景
N社は従業員約20名の翻訳・通訳・海外進出支援を手がける企業です。国内1拠点を構えながら、海外に在住する従業員やパートナーと日常的に連携して業務を行っています。
社内にIT管理の専任担当者はおらず「ゼロ情シス」の状態でした。利用していたメールサービスにセキュリティ上の懸念がありMicrosoft 365への移行を検討していましたが、社内に移行作業を行える人材がいませんでした。
さらに大きな課題だったのが、オンプレミスのファイルサーバーによるファイル共有の限界です。翻訳・通訳業務では、原稿ファイルや翻訳済みドキュメントを国内外のメンバー間で頻繁にやり取りする必要がありますが、ファイルサーバーは社内ネットワークからしかアクセスできず、海外在住の従業員はファイルを直接参照・編集できない状態でした。メール添付やファイル転送サービスで都度やり取りする運用になっており、バージョン管理の混乱や作業効率の低下が生じていました。
抱えていた課題
N社がご相談時に抱えていた課題は、大きく3つありました。
メールサービスのセキュリティリスク。 利用中のメールサービスにセキュリティ上の懸念があり、Microsoft 365への移行を希望していました。翻訳業務では顧客の機密文書を扱うことも多く、メール環境のセキュリティは事業の信頼性に直結する問題でした。しかし、DNSレコードの変更やメールデータの移行など専門的な作業を行えるメンバーが社内にいませんでした。
海外在住メンバーとのファイル共有・コミュニケーションの非効率。 オンプレミスのファイルサーバーは社外からアクセスできないため、海外在住の従業員とのファイルのやり取りはメール添付が中心でした。同じファイルの複数バージョンが飛び交い、「最新版はどれか」「誰がどこまで作業したか」が分かりにくい状態で、翻訳の品質管理にも影響が出ていました。
IT管理の不在による漠然とした不安。 ゼロ情シスの状態で、トラブルが起きたときに相談できる相手がいないことへの不安がありました。メールが使えなくなる、ファイルサーバーが壊れるといった事態が発生した場合に、業務が長時間止まるリスクを抱えていました。
支援内容
Microsoft 365への移行とクラウド化(Project365 / 1ヶ月目)
情シス365は、メール環境の刷新とファイル共有のクラウド化を並行して1ヶ月で完了しました。
メール環境の移行: 既存のメールサービスからMicrosoft 365(Exchange Online)への移行を実施しました。過去のメールデータの移行、DNSレコード(MXレコード、SPF、DKIM、DMARC)の切り替え、国内・海外双方の社員のOutlookおよびスマートフォンのメール設定を行いました。翻訳業務では顧客とのメールのやり取りが途切れることが致命的なため、移行は週末に集中して実施し、業務への影響を最小限に抑えました。
ファイルサーバーからSharePoint Onlineへの移行: オンプレミスのファイルサーバーに保存されていたデータをSharePoint Online / OneDriveに移行しました。翻訳プロジェクトごとのフォルダ構成を整理し、アクセス権限の設定を実施。これにより、国内のオフィスからも海外の自宅からも、同じファイルにリアルタイムでアクセスできる環境が整いました。
Teamsによるコミュニケーション基盤の構築: Microsoft Teamsを導入し、海外在住メンバーとのチャット・ビデオ会議・ファイル共有の基盤を構築。プロジェクトごとのチャネルを設定し、翻訳の進捗共有やレビュー依頼がTeams上で完結する業務フローを整えました。
社員向け説明と操作サポート: Microsoft 365の基本的な使い方(Outlook、Teams、SharePoint、OneDrive)について社員向けに説明を行いました。海外在住の従業員にはリモートで個別に操作サポートを実施し、時差のあるメンバーにも対応しました。
セキュリティ対策(Security365)
顧客の機密文書を日常的に扱う翻訳業務において、セキュリティの強化は不可欠です。Microsoft 365の導入と同時にセキュリティ基盤を整備しました。
MFA(多要素認証)の全社展開: すべてのMicrosoft 365アカウントにMFAを設定。海外からのアクセスが日常的に発生するN社では、不正アクセスのリスクが高いため、MFAの導入は特に重要な対策でした。
メールセキュリティの強化: SPF、DKIM、DMARCの設定により、なりすましメールの防止とメールの信頼性向上を実現。翻訳業務では顧客企業の担当者を装ったフィッシングメールのリスクもあるため、メールセキュリティの強化は事業を守る上で不可欠な施策でした。
セキュリティポリシーの策定: パスワードポリシー、デバイスの利用ルール、顧客データの取り扱いルールなど、基本的なセキュリティポリシーを策定・文書化しました。
継続運用(Support365)
移行完了後は、日常のIT運用を継続的に支援しています。
ヘルプデスク対応: Microsoft 365の操作に関する質問やPC周りのトラブルに対応。海外在住メンバーからの問い合わせにもリモートで対応しています。
アカウント・ライセンス管理: 入退社に伴うアカウントの作成・削除、ライセンスの割当管理を代行。海外在住の業務委託メンバーのアカウント管理も含めて対応しています。
IT相談窓口: 新しいツールの導入検討や業務効率化のためのIT活用など、日常的なIT相談にも対応。ゼロ情シスの企業にとっての「ITのかかりつけ医」として機能しています。
情シス365の関わり方
リモートでの対応を基本としつつ、初期のメール移行作業やファイルサーバーのデータ移行など現地での対応が必要な場面ではオフィスを訪問しました。
海外在住のメンバーへのサポートも含めてリモートで対応できる体制を取っており、時差を考慮したコミュニケーションも行っています。
導入後の成果
トラブル発生時の対応がスムーズになった。 メールやファイル共有でトラブルが発生した際に、すぐに相談・対応できる体制が確立されました。以前は「何とかなるまで待つ」しかなかった状態が解消され、業務の中断時間が大幅に短縮されました。
ゼロ情シスの不安がなくなった。 「メールサーバーが止まったらどうしよう」「ファイルサーバーが壊れたらデータはどうなるのか」という不安が、クラウド移行と情シス365の継続サポートにより解消されました。経営者がIT周りの心配から解放され、本業に集中できるようになりました。
海外在住メンバーとセキュアにコラボレーションできるようになった。 SharePoint OnlineとTeamsの導入により、国内外のメンバーが同じファイルにリアルタイムでアクセスし、共同編集できる環境が整いました。メール添付でファイルをやり取りしていた頃に比べて、バージョン管理の混乱がなくなり、翻訳プロジェクトの進捗管理もTeams上で一元化。MFAにより海外からのアクセスもセキュアに行えるため、場所を選ばない働き方が実現しました。
プロジェクト概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業種 | 翻訳/通訳/海外進出支援 |
| 従業員規模 | 〜20名 |
| 拠点数 | 1拠点(+海外在住メンバー) |
| 支援期間 | M365導入・データ移行 1ヶ月 + 継続運用中 |
| 提供サービス | Support365 / Security365 + Project365 |
| 主な施策 | メールサービスからM365への移行、ファイルサーバー→SharePoint Onlineへの移行、Teams導入、MFA全社展開、メールセキュリティ強化(SPF/DKIM/DMARC)、セキュリティポリシー策定、IT運用・ヘルプデスク |