Microsoft Teams vs Slack vs Google Chat ― 中小企業のビジネスチャット、どれを選ぶべきか
社内のコミュニケーションツールとして、ビジネスチャットの導入を検討する中小企業が増えています。主要な選択肢はMicrosoft Teams、Slack、Google Chatの3つですが、「結局どれがうちに合っているのか」の判断は意外と難しいものです。
結論を先に言えば、すでにMicrosoft 365を導入している企業はTeams、Google Workspaceを使っているならGoogle Chat、どちらも使っていない場合はSlackかTeamsの比較になります。ただし、それぞれに強みと弱みがあるため、自社の優先事項に合わせて選ぶ必要があります。
料金の比較
Microsoft Teamsは、Microsoft 365 Business Basic(月額899円/ユーザー)以上のプランに含まれています。すでにMicrosoft 365を契約していれば追加コストはゼロです。Teams単体での無料版もありますが、ファイルストレージの容量やセキュリティ機能に制限があります。
Slackは無料プランでもチャットの基本機能は使えますが、メッセージの検索対象が直近90日分に制限されます。有料のPro版は月額1,050円/ユーザー、Business+は月額1,800円/ユーザーです。
Google Chatは、Google Workspace Business Starter(月額816円/ユーザー)以上に含まれます。Google Workspaceを契約していれば追加コストなしで利用可能です。
つまり、Microsoft 365かGoogle Workspaceをすでに使っている企業にとっては、それぞれTeamsかGoogle Chatが「タダで使える」選択肢になります。
機能面の比較
チャット・チャンネル機能 はいずれのツールも基本的な差はありません。1対1のチャット、グループチャット、チャンネル(トピック別のスレッド)を利用できます。Slackはスレッドの操作性に最も優れており、複数の話題が同時進行しても読みやすい設計です。Teamsはチャネル内のスレッドがやや見づらいという声もありますが、最近のアップデートで改善されつつあります。
ビデオ会議 はTeamsが最も充実しています。ビデオ通話、画面共有、録画、トランスクリプト、ブレークアウトルームなど、Web会議に必要な機能がフルセットで揃っています。SlackのHuddle機能は気軽な通話には便利ですが、大人数の会議や録画機能ではTeamsに及びません。Google ChatからはGoogle Meetに連携でき、こちらも機能は充実しています。
ファイル管理 は、Teamsが裏側でSharePointと連携しているため、ファイルの共有・共同編集・権限管理がシームレスです。Google ChatはGoogle Driveとの連携が自然で、ドキュメント共有もスムーズ。Slackはファイル共有自体は可能ですが、あくまでファイル管理の基盤は別に必要です。
外部ツールとの連携 はSlackが圧倒的です。4,000以上のアプリ連携に対応しており、Jira、Trello、GitHub、Salesforceなど開発・営業系のツールとの統合が得意です。Teamsも主要サービスとの連携に対応していますが、Slackほどのエコシステムの広さはありません。
セキュリティとコンプライアンス
企業利用において重要なセキュリティ面では、Teamsがリードしています。Microsoft 365のセキュリティ基盤(Entra ID、条件付きアクセス、情報保護ラベル、監査ログ、データ損失防止ポリシー)がそのまま適用されるため、追加の設定なしで高いセキュリティレベルを実現できます。
Google Chatも、Google Workspaceの管理コンソールからアクセス制御やDLPポリシーを適用可能です。
Slackの有料版もエンタープライズグレードのセキュリティ機能を提供していますが、MicrosoftやGoogleのIDプラットフォームとは別にユーザー管理が発生するため、アカウント管理の手間が増えます。SAML SSOを設定すれば統合できますが、これはBusiness+以上のプランが必要です。
中小企業のタイプ別おすすめ
Microsoft 365を中心に使っている企業 には、Teamsが最適です。追加コストなし、ファイル管理(SharePoint)との統合、ビデオ会議の機能充実、セキュリティの一元管理など、中小企業に必要な要素がすべて揃っています。
Google Workspaceを中心に使っている企業 には、Google Chatが自然な選択です。Gmailとの統合、Google Driveとの連携、Google Meetとの自動接続など、Google環境にいる限りストレスなく利用できます。
エンジニア・開発チームが多い企業 では、Slackが生産性を最大化できる可能性があります。GitHubやJIRAとの連携の深さ、Workflowビルダーによる自動化、APIの豊富さは開発チームにとって大きなメリットです。ただし、Microsoft 365やGoogle Workspaceと別途Slackの費用が発生するため、コスト面での検討が必要です。
どのグループウェアも使っていない企業 がこれから選ぶ場合は、チャットツール単体ではなく「Microsoft 365とTeams」か「Google WorkspaceとGoogle Chat」のパッケージで選ぶのが合理的です。メール、カレンダー、ファイル管理、チャットがすべて一つの基盤で揃うため、管理の手間とコストを最小化できます。
移行時の注意点
すでにSlackを使っていてTeamsへの移行を検討する場合、またはその逆の場合、チャット履歴の移行は完全には行えないケースがほとんどです。過去のやり取りが検索できなくなることを前提に、重要な情報はWikiやドキュメントに転記しておく必要があります。
移行期間中は2つのツールが併存する期間を最短にすることが重要です。「1か月の並行期間」を設け、その間に新ツールの操作研修を行い、期日を決めて旧ツールを停止するのが、混乱を最小限に抑えるコツです。