「全部ひとりでやってます」― ひとり情シスの業務過多と属人化リスクを解消する方法
「パソコンの調子が悪いんだけど」「新しいSaaSのアカウントを作ってほしい」「VPNが繋がらない」――朝出社した瞬間から、社員からの問い合わせが絶えない。午前中はヘルプデスク対応で終わり、午後からようやく自分の仕事に取りかかろうとしたところで、今度はサーバーのアラートが鳴る。
こんな日常を過ごしている「ひとり情シス」の方は、決して少なくありません。
「ひとり情シス」は中小企業の構造問題
「ひとり情シス」とは、企業の情報システム部門の業務を実質的に1人で担っている状態を指します。社内ネットワークの構築・運用、PC・サーバーの管理、セキュリティ対策、SaaS導入、社内ヘルプデスク、さらにはDX推進まで、本来は複数の専門家がチームで分担すべき業務を、1人の担当者がすべて抱えています。
Dell EMCの調査によると、国内中堅企業の約38%がIT担当者1人以下の体制で運用しています。さらに「ゼロ情シス」、つまりIT専任者がおらず総務や経理との兼任で回している企業も同程度存在します。約6割の情シス担当者が他業務と兼任しているというデータもあり、これは一部の企業の例外ではなく、中小企業における構造的な問題です。
業務過多が生む5つの具体的リスク
ひとり情シスの状態が続くと、以下のようなリスクが顕在化します。
1. 障害対応の遅延・長期化
システム障害やサイバー攻撃は突然発生します。1人では同時多発的なトラブルに対応できず、復旧に時間がかかります。その間、業務が全社的にストップし、顧客対応の遅延や売上の損失に直結します。
2. 属人化によるブラックボックス化
ネットワーク構成図、サーバーの設定情報、各サービスの管理者アカウント、トラブル対応の手順――これらが担当者の頭の中にしかない状態は、企業にとって極めて危険です。担当者が病気・事故・退職で不在になった瞬間、IT運用が完全に止まります。
3. セキュリティ対策の後手回り
日常業務に追われると、セキュリティパッチの適用やアクセスログの確認は後回しになりがちです。2026年2月のWindows Updateでは6件のゼロデイ脆弱性が修正されましたが、こうした緊急パッチを48時間以内に全端末に適用するのは、1人体制では極めて困難です。
4. 新技術・DXへの対応停滞
クラウド移行やAI活用、業務自動化といったDX推進は、調査・検証・導入・教育と多くの工数が必要です。日常のヘルプデスク対応やトラブルシューティングに時間を取られていると、新しい取り組みに着手する余裕がありません。
5. 担当者の燃え尽き・離職
技術的な相談や意見交換ができる同僚がいない環境は、精神的な負担が大きくなります。重大なインシデント対応を1人で抱える責任感や、経営層からの「なぜできないのか」というプレッシャーは、優秀な担当者ほど燃え尽き症候群や離職に追い込みます。
属人化を解消する3つのアプローチ
1. ドキュメント整備を「業務」として位置づける
属人化の根本原因は「忙しくてドキュメントを書く暇がない」ことです。しかし、ドキュメント整備は緊急度は低くても重要度は極めて高い業務です。
まずは以下の3つから着手してください。ネットワーク構成図(物理・論理)と各種サービスの管理者アカウント一覧、定常業務の手順書(バックアップ確認、パッチ適用など)です。完璧なドキュメントを目指す必要はありません。「自分が明日いなくなっても、引き継ぎ先が最低限の運用を続けられるレベル」が目標です。
2. ツール・自動化で定常業務を減らす
Microsoft 365 Business Premium以上を導入していれば、IntuneによるWindows Updateの自動配信、条件付きアクセスによるセキュリティポリシーの自動適用、セルフサービスパスワードリセットによるヘルプデスク負荷の軽減が可能です。これらの設定だけでも、月に数十時間の工数削減が見込めます。
3. 外部リソースの活用(アウトソーシング)
「すべてを自社で抱える」という発想を見直すことが重要です。IT運用のアウトソーシングには、常駐型(社内に専門スタッフを配置)、リモート型(必要な時にリモートで対応)、ハイブリッド型(日常はリモート、緊急時は訪問)の3つの形態があります。
中小企業にとって最もコストバランスが良いのは、月額固定のリモート型アウトソーシングです。フルタイムの正社員を採用するよりも低コストで、かつ複数の専門家のナレッジを活用できます。
経営層に伝えるべきこと
ひとり情シスの問題は、担当者個人の能力の問題ではなく、組織の体制の問題です。経営層に対しては「ITはコストではなく投資であること」「ひとり情シスの離職や不在が事業継続に直結するリスクであること」の2点を、具体的な数字とともに伝えてください。
たとえば「担当者が退職した場合、後任の採用に3〜6ヶ月、引き継ぎにさらに3ヶ月かかる。その間のセキュリティリスクと業務停止リスクはいくらになるか」という試算は、経営層の理解を得る上で有効です。
情シス365では、ひとり情シスの業務負荷を軽減する月額固定のIT運用支援サービスを提供しています。月額18万円から、Microsoft 365の運用管理、セキュリティ対策、ヘルプデスク支援まで、貴社の「もうひとりの情シス」としてサポートします。まずは無料相談からお気軽にどうぞ。