社員が辞めるときのIT対応チェックリスト ― アカウント停止・データ保全・端末回収の手順

社員が退職するとき、IT担当者がやるべきことは意外と多く、しかもタイムリミットがあります。退職日にアカウントを止め忘れた結果、退職者が社内データにアクセスし続けていた――という事故は珍しくありません。

特にひとり情シスや情シス不在の企業では、人事部門とIT対応の連携が仕組み化されていないケースが多く、「辞めた人のアカウントがまだ生きている」問題が慢性的に発生します。

本記事では、退職が決まってから最終日、その後までのIT対応を時系列で整理します。

退職日「当日」に必ずやること

最優先は「認証の遮断」です。退職日の業務終了後、以下を速やかに実行します。

まず、Microsoft 365(またはGoogle Workspace)のアカウントをサインインブロックに設定します。削除ではなく「サインインのブロック」が正解です。いきなり削除するとメールやOneDriveのデータも消えてしまい、後から「あの人が持っていたファイルが必要」と言われたときに対応できなくなります。

次に、VPNアカウントの無効化、物理オフィスの入退室カード・鍵の回収、そしてPC・スマートフォン・モバイルルーターなど貸与機器の回収を行います。リモートワーク中心の社員の場合、機器の返送手順を事前に伝えておくことが重要です。

退職日から1週間以内にやること

当日の緊急対応が終わったら、次はデータ保全とSaaSの棚卸しです。

退職者のメールボックスを共有メールボックスに変換するか、PST/MBOXでエクスポートしてアーカイブします。Microsoft 365の場合、共有メールボックスに変換すればライセンスを解放しつつメールを保持できます。OneDriveの中身は上長のアカウントにコピーするか、SharePointの共有ライブラリに移動します。

見落としがちなのが「個人契約」のSaaSです。Slack、Notion、Figma、ChatGPTなど、会社が正式に導入していないツールに業務データが残っているケースがあります。退職者本人に確認するのが最善ですが、退職後は協力を得にくいため、在職中にヒアリングしておくのが理想です。

退職日から30日以内にやること

退職から1か月を目安に、アカウントの完全削除を判断します。

Microsoft 365のアカウントを削除すると、30日間はソフトデリート状態で復元可能ですが、それを過ぎるとデータは完全に消えます。この期間を利用して、本当にデータが不要かを部門長に確認します。

ライセンスの再割当ても忘れずに行います。退職者のMicrosoft 365やAdobe Creative Cloudのライセンスが空いたまま課金が続いているケースは非常に多く、年間で数万円~数十万円の無駄が発生します。

人事部門との連携を仕組み化する

個別対応を続けている限り、漏れは必ず発生します。人事部門と「退職が決まった時点でIT担当に連絡する」フローを確立することが、最も効果的な対策です。

具体的には、退職届受理時に人事からIT担当へ通知する仕組み(メール、Teams通知、共有リストなど)を作り、IT側はチェックリストに沿って対応する流れです。Power Automateを使えば、SharePointリストへの入力をトリガーにTeams通知とタスク生成を自動化することもできます。

退職対応IT作業チェックリスト

最後に、コピーして使えるチェックリストを掲載します。

退職当日: Microsoft 365/Google Workspaceのサインインブロック、VPN無効化、入退室カード・鍵の回収、貸与PC・スマホ・ルーターの回収、代表メールや共有カレンダーからの削除。

1週間以内: メールボックスのアーカイブまたは共有メールボックス変換、OneDrive/Google Driveデータの移管、個人契約SaaSの確認と引き継ぎ、Teams/Slackチャンネルのオーナー変更、社外サービス(ドメイン管理、クラウドサーバー等)の管理者変更。

30日以内: アカウントの完全削除判断、ライセンスの再割当てまたは解約、IT資産台帳の更新、退職者向けマニュアルの改善点記録。

退職対応はルーティン化すれば30分で完了する作業です。しかし、属人化していると漏れが生じ、セキュリティリスクとコストの無駄を生み続けます。まずはチェックリストを用意し、人事との連携フローを整備するところから始めてみてください。

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