社内ネットワークが遅い・不安定な原因と対処法 ― 情シスがまず確認すべき7つのポイント

「ネットが遅い」「Teamsの会議が途切れる」「ファイルのダウンロードに時間がかかる」――情シスに寄せられる問い合わせの中で、ネットワーク関連は常にトップ3に入る問題です。

厄介なのは、原因が多岐にわたることです。回線そのものの問題なのか、社内のルーターやスイッチの問題なのか、Wi-Fiの問題なのか、あるいは特定のPCだけの問題なのか。切り分けができないまま「とりあえず再起動」で対応し続けている現場も少なくありません。

本記事では、中小企業のネットワーク問題で多い7つの原因と、それぞれの診断・対処方法を解説します。

原因①:ルーター・スイッチの老朽化

導入から5年以上経過したルーターやL2スイッチは、ファームウェアが古いまま放置されていたり、同時接続数の上限に近づいていたりすることがあります。特に「社員が増えたのにルーターは創業時のまま」というケースは多く、10人で問題なかった機器が50人では処理しきれません。

診断方法としては、ルーターの管理画面でCPU使用率とメモリ使用率を確認します。常時80%を超えているようなら、買い替えの検討時期です。

原因②:Wi-Fiのチャンネル干渉

オフィスビルの場合、周囲のテナントが使っているWi-Fiと電波が干渉して速度低下を引き起こすことがあります。特に2.4GHz帯は3チャンネル(1, 6, 11ch)しか重ならずに使えないため、混雑しやすい帯域です。

Wi-Fiアナライザーアプリ(WindowsならWiFi Analyzer、macOSなら標準のワイヤレス診断)でチャンネルの混雑状況を確認できます。5GHz帯への移行、またはWi-Fi 6対応アクセスポイントへの更新が有効な対策です。

原因③:ISPの帯域不足

社員30人がTeams会議、クラウドストレージ、SaaSを同時利用すると、100Mbps程度の回線では不足することがあります。特に「ベストエフォート型」の回線では、ビル全体の利用状況によって実効速度が大幅に低下します。

fast.comやspeedtest.netで時間帯別の速度を計測し、業務時間帯に安定して必要な速度が出ているか確認します。不足している場合は、回線のアップグレードやISPの変更を検討します。法人向けの帯域保証型回線が選択肢に入るケースもあります。

原因④:DNS設定の問題

意外と見落とされるのがDNSの設定です。名前解決に時間がかかると、Webページの表示やSaaSへのログインが体感的に「遅い」と感じられます。

社内DNSサーバーが古いWindows Serverで動いている場合、フォワーダーの設定を見直すだけで改善することがあります。外部DNSを利用する場合は、Google Public DNS(8.8.8.8)やCloudflare(1.1.1.1)を試してみてください。

原因⑤:VPN経由のボトルネック

リモートワーク環境では、全トラフィックがVPN経由になっている(フルトンネル)ことが原因で遅くなるケースが多発しています。Microsoft 365やZoomなど、信頼できるSaaSへのトラフィックはVPNを経由させない「スプリットトンネル」に設定を変更するだけで、体感速度が劇的に改善されることがあります。

Microsoftは公式にMicrosoft 365トラフィックのスプリットトンネルを推奨しており、設定手順もドキュメント化されています。

原因⑥:特定端末の問題

「ネットが遅い」の訴えが特定の社員からだけであれば、その人のPCやネットワークアダプターに問題がある可能性があります。Wi-Fiドライバーの更新、ネットワーク設定のリセット(netsh winsock reset)、またはLANケーブルの劣化(Cat5をまだ使っている場合など)を確認します。

原因⑦:帯域を占有するアプリやサービス

OneDriveやGoogle Driveの大量同期、Windows Updateの一斉配信、クラウドバックアップのスケジュール実行など、特定の時間帯に帯域を消費するプロセスが原因のこともあります。

Windows Update for Business(WUfB)やWSUSで更新タイミングを制御する、OneDriveの帯域制限をグループポリシーで設定する、バックアップジョブを営業時間外にスケジューリングするなどの対策が有効です。

切り分けの手順

問い合わせを受けたら、まず以下の3点で切り分けます。「全員が遅いのか、特定の人だけか」でネットワーク全体の問題か端末固有の問題かを判断。「有線でも遅いのか、Wi-Fiだけか」でWi-Fi問題かどうかを切り分け。「特定のサービスだけ遅いのか、すべて遅いのか」でISP/DNSの問題かサービス側の問題かを見極めます。

この3問で原因の範囲をかなり絞り込めます。ネットワーク問題は「全部を一度に直そう」とすると混乱するので、まず切り分けて原因を特定し、ピンポイントで対処するのが鉄則です。

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