情シス代行の料金相場を徹底解剖:月額30万と100万で何が違うのか?
情シス代行サービスを検討し始めると、最初にぶつかる疑問が「いくらかかるのか」でしょう。ところが、各社のWebサイトを見比べても「月額10万円〜」「お問い合わせください」といった曖昧な表記が多く、実際の費用感が掴みにくいのが実情です。
結論から言えば、2026年現在の情シス代行サービスの料金帯は、おおむね月額15万円〜120万円の範囲に分布しています。しかし、金額だけを比較しても意味がありません。重要なのは「その金額で何が含まれているか」です。
この記事では、情シス代行の料金を構成する要素を分解し、月額30万円と月額100万円で具体的に何が違うのかを明らかにします。
料金を決める5つの変数
情シス代行の月額料金は、主に以下の5つの変数で決まります。
変数1:対応範囲の広さ
最も料金に影響する要素です。ヘルプデスクだけなら月額15〜25万円で済みますが、セキュリティ運用、IT資産管理、SaaS選定支援、IT戦略コンサルティングまで含めると50〜100万円以上になります。
よくある料金帯と対応範囲の関係はこうです。月額15〜25万円はヘルプデスク対応(問い合わせ対応、アカウント管理)が中心です。月額30〜50万円になると、ここにセキュリティ運用やIT資産管理が加わります。月額60〜100万円以上の帯では、IT戦略の策定支援やプロジェクト型の導入支援(クラウド移行、テナント統合等)まで含まれるのが一般的です。
変数2:対応する従業員数
委託元の従業員数は、問い合わせ件数や管理するアカウント数に直結するため、料金に大きく影響します。従業員50名以下と300名では、月間の問い合わせ件数が数倍違います。多くのサービスでは、50名まで・100名まで・300名までといった段階的な料金体系を採用しています。
変数3:対応時間帯とSLA
平日9時〜18時のみ対応するプランと、夜間・休日を含む24時間365日対応のプランでは、料金が2〜3倍変わることもあります。また、問い合わせへの初回応答時間のSLA(たとえば「30分以内」と「4時間以内」)によっても変動します。中小企業の場合、平日日中のみの対応で十分なケースがほとんどです。
変数4:オンサイト対応の有無と頻度
完全リモート対応のみのプランと、月に数回のオンサイト(訪問)対応を含むプランでは、当然料金が異なります。PCのキッティング(初期設定)やネットワーク機器のトラブル対応など、物理的な作業が必要な場合はオンサイト対応が不可欠です。月2〜4回のオンサイト込みで、リモートのみと比べて月額5〜15万円程度の差になるのが一般的です。
変数5:担当者のスキルレベル
ヘルプデスク対応(L1)の時間単価と、設計・構築レベル(L3)やコンサルティングレベル(L4)の時間単価には大きな開きがあります。L1の時間単価が5,000〜8,000円程度なのに対し、L3〜L4では10,000〜15,000円が相場です。高度な専門性(Entra IDの条件付きアクセス設計、テナント統合の設計など)が必要な業務を含む場合、月額は当然上がります。
月額30万円と100万円 ― 具体的に何が違うのか
この2つの価格帯で、実際のサービス内容がどう変わるかを具体的に比較します。
月額30万円帯のサービスイメージ
月額30万円帯は、従業員50名以下の中小企業がヘルプデスク+基本的なIT運用管理を外注する際の標準的な価格帯です。
対応範囲としては、社員からの問い合わせ対応(月20〜40件程度)、入退社に伴うアカウント管理、PC・IT資産の台帳管理、基本的なセキュリティ監視(Defenderのアラート確認、Windows Updateの管理)が含まれます。
対応時間は平日9時〜18時で、連絡手段はメールとチャット(SlackやTeams)が中心です。オンサイト対応は含まれないか、月1回程度です。担当者はL1〜L2レベルのスタッフが中心で、複雑な設計作業は追加費用が発生します。
この価格帯の特徴は「決まった業務を決まった品質で回す」ことに重点がある点です。IT環境に大きな変更がなく、日常的な運用が安定している企業に適しています。
月額100万円帯のサービスイメージ
月額100万円帯は、従業員100〜300名規模の企業が、情シス機能全体を外注する際の価格帯です。
対応範囲はヘルプデスクからセキュリティ運用、IT資産管理に加えて、IT戦略の策定支援、SaaS導入のプロジェクト管理、セキュリティポリシーの策定、ベンダーマネジメントまで含まれます。
担当者体制はL1〜L4まで複数名がアサインされ、専任のアカウントマネージャーが窓口を担います。月次のレポーティングだけでなく、四半期ごとのIT戦略レビューや年次のIT予算策定支援まで含むのが一般的です。オンサイト対応は週1〜2回が標準で、緊急時は当日駆けつけも可能なSLAが設定されます。
この価格帯の特徴は「運用」だけでなく「企画・戦略」まで含む点です。CIO(最高情報責任者)の機能をアウトソースするに近いイメージで、「何をすべきか」から一緒に考えてくれるパートナーシップ型のサービスになります。
見落としがちな「隠れコスト」
月額料金だけを見て判断すると、後から想定外のコストが発生することがあります。以下の項目は、見積もり段階で必ず確認してください。
初期費用
現環境の調査・棚卸し、ドキュメント整備、引き継ぎにかかる費用です。ゼロから環境を把握する必要がある場合、20〜50万円程度が相場です。すでにドキュメントが整備されている場合は大幅に圧縮できます。
超過対応費用
月次の問い合わせ件数や対応時間が契約上限を超えた場合の追加費用です。時間単価制の場合、月末になって予算オーバーが発覚するケースがあります。契約時に上限設定とアラートの仕組みを確認しておきましょう。
プロジェクト型対応の費用
日常運用とは別に、クラウド移行やテナント統合のような一時的なプロジェクトが発生した場合、別途見積もりとなるのが一般的です。この費用が月額料金に含まれるのか、別建てなのかは事前に確認が必要です。
ツール・ライセンス費用
IT資産管理ツールやリモート監視ツール(RMM)のライセンス費用が月額料金に含まれるのか、別途請求されるのかも確認ポイントです。
自社の適正予算を算出する方法
「うちはいくらが妥当なのか」を判断するための簡易的な算出方法を紹介します。
ステップ1:現在のIT関連人件費を把握する
ひとり情シスの年収が500万円の場合、社会保険料や福利厚生費を含む企業負担は年間650〜700万円程度です。これを月額に換算すると約55〜60万円です。
ステップ2:外注で不要になる業務とコストを特定する
外注によって正社員の業務時間がどの程度削減されるかを見積もります。ひとり情シスの業務の70%が外注可能だとすれば、月額40万円程度のコスト削減効果があると考えられます。
ステップ3:正社員では得られない価値を金額換算する
外注のメリットは「コスト削減」だけではありません。複数スキルレベル(L1〜L4)の専門家にアクセスできること、属人化リスクの解消、最新のセキュリティ知見の活用など、正社員1名では得られない価値があります。これらの価値をどう評価するかは経営判断ですが、「ひとり情シスの人件費」と単純比較するのは適切ではありません。
目安
従業員30名以下の企業であれば月額15〜30万円、50名規模なら30〜50万円、100名以上なら50〜80万円が一つの目安です。M&A直後のテナント統合や大規模なクラウド移行が控えている場合は、プロジェクト費用として別途100〜300万円程度を見込んでおく必要があります。
まとめ:「安さ」で選ぶと高くつく
情シス代行を選ぶ際に最も避けるべきは、「月額料金が安いから」という理由だけで決めることです。対応範囲が狭ければ追加費用がかさみ、SLAが低ければトラブル対応が遅れ、スキルレベルが不足していれば本来解決できる問題が放置されます。
重要なのは、自社が必要としている対応範囲・品質・スピードに対して、提示された料金が妥当かどうかを判断することです。そのためには、この記事で解説した5つの変数を軸に複数社の見積もりを比較し、単純な月額だけでなく「何が含まれていて、何が含まれていないか」を精査してください。
情シス365では、ライトプラン(月額18万円〜)からフルサポートプラン(月額60万円〜)まで、対応範囲を明確にした段階的な料金体系をご用意しています。「うちの規模だと実際いくらになるのか」を知りたい方は、60分の無料相談で概算をお伝えしますので、お気軽にお問い合わせください。