情シスアウトソーシングと正社員採用、どちらを選ぶべきか
「IT専任者を採用すべきか、外部に任せるべきか」——中小企業の経営者が情シス体制を考えるとき、最初にぶつかる問いです。
どちらにも明確なメリット・デメリットがあり、「全企業に当てはまる正解」は存在しません。本記事では、両者を複数の観点から比較し、判断の材料を提供します。
コスト比較
正社員採用の場合
IT人材の採用市場は売り手市場が続いており、中小企業にとって採用のハードルは高い状況です。
- 年収:400万〜600万円(経験3〜5年のIT担当者)
- 社会保険料・福利厚生:年収の約15〜20%
- 採用コスト:人材紹介手数料(年収の30〜35%)=120万〜210万円
- 教育・研修費:年間10万〜30万円
- 合計初年度コスト:約600万〜900万円
- 2年目以降の年間コスト:約500万〜720万円
アウトソーシングの場合
- 月額費用:15万〜50万円(対応範囲による)
- 年間コスト:180万〜600万円
- 初期費用:0円〜数十万円(環境調査・引き継ぎ費用)
単純なコスト比較では、アウトソーシングの方が安くなるケースが多いです。ただし、「安いから良い」という単純な話ではありません。
対応範囲の比較
正社員のメリット
- 即時対応:社内にいるため、緊急時の対応スピードが速い
- 業務理解が深い:自社の業務フローや社員の顔を知っている
- 物理的な対応:ネットワーク機器のトラブル、PCの現物対応がすぐにできる
- 帰属意識:会社の一員として中長期的な視点で業務改善に取り組める
アウトソーシングのメリット
- 専門性の幅:セキュリティ、クラウド、ID管理など、個人では持ちにくい幅広い専門知識
- チーム体制:担当者1名の病欠・退職でも業務が止まらない
- 最新知識の更新:複数の顧客対応を通じて、常に最新の技術動向やベストプラクティスに触れている
- 柔軟なスケーリング:業務量に応じてサービス範囲を拡大・縮小できる
リスク比較
正社員の主なリスク
退職リスク:IT人材の平均勤続年数は比較的短く、3〜5年で転職するケースが多いです。退職時にIT環境がブラックボックスになるリスクがあります。
スキルの限界:1人の正社員がカバーできる領域には限りがあります。ヘルプデスクに強い人がセキュリティ設計に弱い、ネットワークに詳しいがクラウドは不得意、といったケースは珍しくありません。
採用の難しさ:中小企業がIT人材を採用すること自体が難しく、採用活動に半年以上かかることもあります。
アウトソーシングの主なリスク
社内にノウハウが残りにくい:ITの判断力やスキルが社内に蓄積されにくくなります。
レスポンスの遅延:物理的に社内にいないため、対面での即座の対応はできません。
外注先の品質リスク:外注先の担当者の質やサービスレベルが期待を下回る可能性があります。
フェーズ別の判断基準
「まずはアウトソーシング」が適している企業
- 社員数50名以下で、IT専任者を1名雇用する予算が厳しい
- IT担当者の採用活動をしているが見つからず、つなぎが必要
- IT管理の土台(ポリシー、手順書、構成図)がまだない
- M&Aや急成長で、一時的にIT業務量が急増している
「正社員採用」が適している企業
- 社員数100名以上で、日常的なIT問い合わせ量が多い
- 社内に独自の業務システムがあり、深い業務理解が求められる
- 物理的なオフィスインフラ(サーバールーム、ネットワーク機器)の管理が多い
- 中長期的に内製のIT組織を構築したい
「併用」が最も現実的なケース
実際には、正社員とアウトソーシングの併用が最もバランスの良い選択になるケースが多いです。
- 正社員1名+アウトソーシング(ヘルプデスク+セキュリティ)
- 正社員1名が社内調整と判断を担い、実務を外部に委託
- アウトソーシングで運用を回しつつ、適任者が見つかったら正社員を採用
この「ハイブリッド型」の体制は、正社員の退職リスクを軽減しつつ、専門性の幅を確保できるバランスの良い構成です。
情シス365は「併用」にも対応
情シス365は、IT専任者がいない企業はもちろん、社内にIT担当者がいる企業の「補完」としても活用いただけます。
「ヘルプデスクだけ外部に任せて、社内担当者はセキュリティに集中したい」「セキュリティ運用だけ専門家に任せたい」——こうした部分的な活用も歓迎です。
- Support365:日常運用の移管
- Security365:セキュリティ領域の専門補完
- Consult365:IT戦略の壁打ち相手として