TCP/IPとポート番号の基礎 ― 80/443/22/3389が何を意味するか情シスが押さえるべき最低限

「ポート443を開けてください」「SSHは22番ですよね?」――情シスの会話には日常的にポート番号が登場します。SaaS導入時のファイアウォール設定、リモートアクセス構築、ベンダーとのトラブルシューティングなど、TCP/IPとポート番号を理解していないと、何を聞かれているのか・何を許可しているのかわからないまま作業することになります。

本記事では、中小企業の情シスがファイアウォール設定やトラブル切り分けで困らない最低限のTCP/IPとポート番号の知識を整理します。

TCP/IPとは ― 4階層モデルでイメージする

TCP/IPは、インターネットや社内LANで使われる通信プロトコルの総称です。「IP(住所)」と「TCP/UDP(届け方)」を組み合わせて通信する仕組みで、4つの階層で役割が分かれます。

階層役割代表的なプロトコル
アプリケーション層アプリ同士の会話のルールHTTP, HTTPS, SMTP, IMAP, DNS, SSH
トランスポート層信頼性ある届け方TCP, UDP
インターネット層住所を使った経路選択IP, ICMP
ネットワーク層物理的な信号伝送Ethernet, Wi-Fi

情シスの実務では、上の2階層(アプリケーション層とトランスポート層)が会話の中心になります。「HTTPSで通信する」「TCP 443を開ける」というのは、それぞれアプリケーション層とトランスポート層のレベルで状況を説明している言葉です。

TCPとUDPの違い

TCPとUDPは、トランスポート層の2大プロトコルです。

TCP(Transmission Control Protocol)。 通信開始時にハンドシェイク(3-wayハンドシェイク)で接続を確立し、パケットの順序保証・到達確認・再送制御を行います。確実性が高い反面、オーバーヘッドが大きい。Web、メール、ファイル転送、SSHなど大半の業務通信で使われます。

UDP(User Datagram Protocol)。 接続を確立せずに「投げっぱなし」で送る方式。順序保証も再送もないが、軽量で高速。DNS、NTP、VPN(一部)、ビデオ会議の音声/映像、オンラインゲームなどで使われます。

実務的には「ビデオ会議が遅延に弱い理由は音声/映像でUDPを使っているから」「TCP接続が切れる症状はファイアウォールのアイドルタイムアウトを疑う」など、トラブル切り分けで両者の違いを思い出す場面が出てきます。

ポート番号とは

ポート番号は、IPアドレス(住所)の中で「どのアプリケーションに届けるか」を指定する番号です。1台のサーバが複数のサービス(Webサイト、メール、SSH等)を同時に提供できるのは、ポート番号で区別しているためです。

ポート番号は0〜65535の範囲で、用途別に3つに分類されます。

範囲名称用途
0〜1023ウェルノウンポートHTTP, HTTPS, SMTP等の標準サービス
1024〜49151レジスタードポートアプリベンダーが登録した固有サービス
49152〜65535ダイナミック/プライベートクライアント側の一時利用

情シスが暗記すべき主要ポート番号

ファイアウォール設定とトラブル切り分けで、以下のポート番号は最低限暗記してください。

Web系

ポートプロトコル用途
80/TCPHTTP平文Webアクセス(現在は443にリダイレクトされることが多い)
443/TCPHTTPS暗号化Webアクセス。SaaS通信のほぼすべてがこれ
8080/TCPHTTP-alt開発用Webサーバ、プロキシなどでよく使う
8443/TCPHTTPS-alt管理画面(FortiGate, Synology等)でよく使う

メール系

ポートプロトコル用途
25/TCPSMTPサーバ間メール転送(クライアント送信用ではない)
587/TCPSMTP Submissionクライアントからのメール送信(STARTTLS)
465/TCPSMTPS暗号化メール送信(SSL/TLS)
110/TCPPOP3メール受信(旧式)
995/TCPPOP3S暗号化POP3
143/TCPIMAPメール受信(同期型)
993/TCPIMAPS暗号化IMAP

リモート接続・運用系

ポートプロトコル用途
22/TCPSSHLinux/UNIXへのリモートログイン、SFTP
3389/TCPRDPWindowsリモートデスクトップ
23/TCPTelnet平文リモートログイン(使うべきではない
21/TCPFTPファイル転送(平文。使うべきではない
990/TCPFTPS暗号化FTP
445/TCPSMBWindowsファイル共有

ネームサービス・基盤系

ポートプロトコル用途
53/TCP・UDPDNS名前解決
67/UDP, 68/UDPDHCPIP自動割り当て
123/UDPNTP時刻同期
389/TCPLDAPActive Directory等の認証
636/TCPLDAPS暗号化LDAP
88/TCP・UDPKerberosAD認証

VPN・拠点間接続

ポートプロトコル用途
500/UDP, 4500/UDPIKE/IPsecIPsec VPN
1194/UDPOpenVPNOpenVPNデフォルト
1701/UDPL2TPL2TPバックボーン
1723/TCPPPTP古いVPN(使うべきではない

ファイアウォール設定で迷わないコツ

「アウトバウンドは原則許可、インバウンドは原則拒否」

社内→インターネット方向(アウトバウンド)は、80/443を中心に主要ポートを許可。インターネット→社内方向(インバウンド)は、明示的に必要なものだけ穴を開けます。中小企業オフィスでインバウンドを大量に開ける必要があるケースは稀で、必要ならVPN・ZTNA経由にするのが安全です。

「平文プロトコルは原則使わない」

20/21(FTP)、23(Telnet)、110(POP3)、143(IMAP)、80(HTTP)は平文で認証情報やデータが流れます。社外との通信では暗号化版(FTPS/SSH/IMAPS/HTTPS)を使ってください。社内通信でも平文プロトコルは攻撃者の盗聴・改ざんの起点になります。

「SaaSは443で動く」と覚えておく

Microsoft 365、Google Workspace、Salesforce、Slack等のSaaSは基本的に443/TCP(HTTPS)で通信します。「Teamsが繋がらない」「OneDriveが同期しない」というトラブルでは、まず443が出ていけるかを確認します。プロキシ・UTM・SSL Inspectionが余計な遮断をしているケースが大半です。

「ポート番号を変えるのは気休めにしかならない」

「SSHを22から非標準ポート(22022等)に変えればセキュア」という話を聞きますが、ポートスキャンですぐ見つかります。鍵認証の徹底、IP制限、踏み台経由化、Fail2ban等のブルートフォース対策の方が本質的です。

トラブル切り分けで使う基本コマンド

「どのポートが開いているか・通っているか」を確認するコマンドは、情シスの基本道具です。

# Windows: 特定ポートへの疎通確認
Test-NetConnection -ComputerName example.com -Port 443

# macOS/Linux: 特定ポートへの疎通確認
nc -zv example.com 443

# 自端末でリスニング中のポート確認
# Windows
netstat -ano | findstr LISTENING
# macOS/Linux
ss -tunlp

「telnet で確認」と教わった方も多いですが、Windows 10/11ではTelnetクライアントが既定で無効です。Test-NetConnection(PowerShell)を使ってください。

まとめ

TCP/IPとポート番号は、ファイアウォール設定・SaaS導入・トラブル切り分けで毎日のように出てくる基礎知識です。「TCPとUDPの違い」「主要ポート(80/443/22/3389/53/123)」「アウトバウンド許可・インバウンド拒否の原則」の3点を押さえておけば、ベンダーや先輩との会話で困ることは大幅に減ります。

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