RAIDレベルの基礎(0/1/5/6/10)― NAS・サーバ選定で必ず聞かれる用語を中小企業情シス向けに整理

「RAID 5でいきますか?それとも6?」「ホットスワップ対応のドライブベイは?」――NASや業務サーバを選定するとき、ベンダーから必ず聞かれるのがRAIDの構成です。RAIDの選択は、ストレージの容量効率・耐障害性・性能のすべてに影響し、後から変更するには全データの退避と再構築が必要になります。

「とりあえずRAID 5」で済ませている現場も多いですが、ディスク容量が増えた現代ではRAID 5は危険になりつつあります。本記事では、中小企業の情シスがRAIDの基礎を理解し、適切なレベルを選定できるようになるための知識を整理します。

RAIDとは

RAID(Redundant Array of Independent Disks)は、複数のディスクを束ねて1つの論理ボリュームとして使う技術です。目的は2つあります。

① 耐障害性。 ディスクが1〜2本故障しても、データを失わずに運用を続けられる。

② 性能向上。 読み書きを複数ディスクに分散することで、単体ディスクより高速化できる。

ただし「RAIDはバックアップではない」という鉄則は重要です。RAIDはハードウェア故障に対する冗長性を提供しますが、ファイル誤削除、ランサムウェア、災害には無力です。RAIDとバックアップ(3-2-1ルール)は別物として両方を整備してください。

主要なRAIDレベル

RAID 0(ストライピング)― 冗長性なし

データを複数ディスクに分散して書き込む構成です。読み書きは速くなりますが、1本でも故障したら全データ消失します。業務利用には推奨されません。

必要ディスク容量効率耐障害性用途
2本以上100%なし動画編集の作業領域、キャッシュ等

RAID 1(ミラーリング)― 同じデータを2本に書く

2本のディスクに同じデータを書き込む構成です。1本壊れてももう1本に同じデータが残るため、読み出しは継続できます。容量は半分になります。

必要ディスク容量効率耐障害性用途
2本以上50%1本まで故障OK小規模NAS、OSドライブ

RAID 5(パリティ分散)― 1本までの故障に耐える

データとパリティ(誤り訂正情報)を複数ディスクに分散して書き込みます。1本までの故障に耐えますが、2本目が壊れる前にリビルド(復元)を完了させる必要があります。

必要ディスク容量効率耐障害性用途
3本以上(n-1)/n1本まで故障OK一般的なNAS(ただし要注意)

RAID 5の落とし穴: ディスク容量の大型化(10TB超え)に伴い、リビルド時間が長時間化(数十時間)し、リビルド中に2本目が壊れる確率が無視できなくなりました。NAS構築時に「とりあえずRAID 5」を選ぶのは、現代では6本以下・1本あたり4TB以下程度の小規模構成に限定すべき選択です。

RAID 6(パリティ分散2重)― 2本までの故障に耐える

RAID 5を強化し、パリティを2重に持つ構成です。2本までの故障に耐えるため、リビルド中の追加故障リスクが大幅に下がります。

必要ディスク容量効率耐障害性用途
4本以上(n-2)/n2本まで故障OK中〜大容量NAS、業務サーバ

中小企業でファイルサーバ・NASを構築する場合の標準です。8本ベイのNASなら6本分の容量が使え、2本まで故障に耐えるため、リビルド中の追加故障に対しても安全マージンがあります。

RAID 10(1+0、ミラー+ストライプ)― 性能と冗長性のいいとこ取り

RAID 1(ミラー)のペアを複数組み合わせて、それらをRAID 0(ストライプ)で束ねる構成です。性能・冗長性ともに優れますが、容量効率は50%です。

必要ディスク容量効率耐障害性用途
4本以上(偶数)50%ペア内1本まで故障OKデータベース、ハイパーバイザ

「ペア内1本」という制約はありますが、書き込み性能と復旧時間ではRAID 5/6を圧倒します。データベースサーバ、Hyper-V/VMwareの仮想マシン格納、トランザクションログ等の用途で選ばれます。

その他のRAIDレベル

レベル概要
RAID 50RAID 5のグループをRAID 0で束ねる。大容量向け
RAID 60RAID 6のグループをRAID 0で束ねる。エンタープライズ向け
RAID Z(ZFS)ZFSベース。Synology Hybrid RAIDやTrueNASで採用
Synology SHRSynology独自。異容量ディスク混在対応

RAIDレベルの選び方

NAS(ファイルサーバ用途)

規模推奨RAID理由
〜2本ベイRAID 1選択肢がない
4本ベイRAID 5 / 6 / SHR容量重視ならRAID 5、安全重視ならRAID 6
6〜8本ベイRAID 6 / SHR-2リビルド時の追加故障リスクを考慮
10本以上RAID 6 / RAID 60大容量構成では2重パリティ必須

サーバ(OSドライブ)

用途推奨RAID
OSドライブRAID 1
データベースRAID 10
仮想マシン格納RAID 10 または RAID 6
バックアップ用領域RAID 6

動画編集・大容量作業領域

「速度優先・データはバックアップで守る」という前提なら、RAID 0またはRAID 5。「制作データを失えない」ならRAID 6 + ミラーリング先という構成が現実的です。

SSD時代のRAID注意点

ライトホール問題

RAID 5/6は、書き込み時に「データ+パリティ」を複数ディスクに分散して書きます。書き込みの途中で電源断が発生すると、データとパリティの整合性が崩れる問題(ライトホール)があります。エンタープライズRAIDコントローラーには電源バックアップ(BBU)が標準装備ですが、低価格NASでは未対応のものもあります。UPS(無停電電源装置)の併設が事実上必須です。

SSDのリビルド時間

SSDでもRAIDは有効ですが、HDDと違い書き込み回数で寿命が決まる点に注意が必要です。RAID 5/6のリビルドはディスク全領域への書き込みを伴うため、SSDの寿命を消費します。同一ロットのSSDを揃えると、寿命到達タイミングが揃い、1本壊れた直後に2本目も壊れる現象が起きやすくなります。

対策として、異なるロット・複数メーカーのSSDを混在させる、または長期運用ではエンタープライズグレードSSD(DWPD 1以上)を選ぶことを推奨します。

TRIM対応

SSDの書き込み性能を維持するTRIMコマンドは、RAIDコントローラーの種類によって対応状況が異なります。NAS・サーバの選定時に、RAID環境でTRIMが透過されるかをベンダーに確認してください。

ホットスワップとホットスペア

ホットスワップ

電源を切らずにディスク交換できる機能です。業務用NAS・サーバでは標準ですが、ベゼルの仕様や金具の有無で差がある場合があります。導入前に必ずスペックシートを確認してください。

ホットスペア

故障に備えて待機させておく予備ディスクです。故障検知時に自動でリビルドが始まるため、人が現場に駆けつける時間を短縮できます。

構成推奨度
6本ベイ + 1本ホットスペア★★
8本ベイ + 1〜2本ホットスペア★★★
12本ベイ以上★★★ ホットスペア必須

RAIDで陥りやすい誤解

「RAIDがあるからバックアップ不要」は誤り。 RAIDはハードウェア故障の冗長性のみ。誤削除・ランサムウェア・災害には無力です。3-2-1バックアップを別途整備してください。

「RAID 5なら2本壊れても大丈夫」は誤り。 RAID 5の耐障害は1本のみ。2本同時故障で全データ消失します。

「RAIDコントローラーが壊れたら全データ消失」も部分的に正解。 ハードウェアRAIDはコントローラーに依存するため、コントローラー自体の故障に備えて同一機種の予備保有またはベンダー保守契約が必要です。ソフトウェアRAID(Linux mdadm、Synology DSM等)は別ハードウェアでもボリューム認識できるケースが多く、復旧性で優位です。

「全ディスクを同じロットで揃えると安心」は誤り。 むしろ寿命到達タイミングが揃って同時故障するリスクが上がります。複数ロットの混在を意識してください。

まとめ

中小企業のNAS・サーバ用途では、現代の標準は RAID 6 または RAID 10 です。RAID 5は3〜4本の小規模構成・小容量に限り、それ以上はRAID 6を選びます。RAIDはバックアップではないため、RAID + 3-2-1バックアップ + UPSが基盤の3点セットです。SSD時代は寿命揃いの同時故障に備えて、ロット分散・ホットスペア・監視通知を整備してください。

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