GWSからM365への移行を含む情シス代行の事例(従業員70名・IT企業)
背景と課題
IT関連サービスのE社(従業員70名)は、創業以来Google Workspaceを利用していましたが、取引先の多くがM365を使用しており、TeamsでのWeb会議やSharePointでのファイル共有に不便が生じていました。
また、Copilot for Microsoft 365の活用による業務効率化にも関心があり、プラットフォーム移行を決断しました。
導入の経緯
社内にIT担当者はいたが、GWSからM365への移行は未経験の領域。移行プロジェクトの推進を情シス365に委託し、移行完了後は運用支援として継続的なM365運用代行に移行する計画としました。
実施内容
移行準備(2週間)としてGWS環境の棚卸し(ユーザー70名、Drive合計2TB、Google Apps Script 15本)、M365テナントの構築・設定。移行実行(1ヶ月)としてBitTitan MigrationWizによるGmail→Exchange Online移行、Google Drive→SharePoint/OneDrive移行、GoogleドキュメントのOffice形式への変換・検証。切替・定着(2週間)としてDNS切り替え(MXレコード・SPF/DKIM/DMARC)、社員向けTeams/Outlook/OneDrive研修、GWSの並行運用(1ヶ月間のセーフティネット)。
導入効果
70名全員のプラットフォーム移行を6週間で完了。移行後のデータ欠損はゼロ。取引先とのTeams会議やSharePoint共有がスムーズになり、コミュニケーションコストが大幅に削減されました。Copilot導入も移行完了後にスムーズに進行しています。
お客様の声
「Googleドキュメントの変換で一部書式が崩れるのが心配だったが、事前に全ファイルを検証してもらえたので安心できた。研修もわかりやすく、社員の不満はほとんどなかった」(管理部長)
この事例から言えること
以下は本事例そのものの記録ではなく、GWSからM365への移行を検討する企業が押さえておくべき一般的な考え方です。
移行の判断は「機能比較」より「取引先の環境」で決まることが多い
GWSとM365の機能比較表を作って優劣を判断しようとすると、結論が出にくくなります。どちらも成熟したサービスで、基本的な業務はどちらでも回るためです。
実務上、移行の決め手になりやすいのは次のような外的要因です。
- 取引先の環境 — 相手がTeams中心なら、こちらもTeamsのほうが会議もファイル共有も摩擦が少ない
- セキュリティ要件 — Intune / Defender / Purview を含めた統制が求められる場合、M365のエコシステムが有利
- 業務システムとの連携 — 使用している業務システムがどちらとの連携を前提にしているか
- AI活用の方針 — CopilotとGeminiのどちらを主軸にするか
「今の不便が何に起因しているか」を特定してから判断してください。 プラットフォームを変えても解決しない問題(運用ルールの不在、教育不足)を、移行で解決しようとすると失敗します。
移行で最も工数がかかるのは「変換の検証」
メールとファイルの移行そのものは、専用ツールを使えば機械的に処理できます。工数がかかるのは、GoogleドキュメントやスプレッドシートをOffice形式に変換した際の崩れを検証する作業です。
特に注意が必要なもの:
- スプレッドシートの関数 — GoogleスプレッドシートにあってExcelにない関数(QUERY、IMPORTRANGE、ARRAYFORMULAの一部挙動など)は、変換後に動作しません
- 書式・レイアウト — 図形、テキストボックス、複雑な表組みは崩れることがあります
- Google Apps Script — Office側に自動で引き継がれません。Power Automate や Office Script で作り直すか、廃止するかの判断が必要です
- 共有リンク — 社内文書に貼られたGoogle DriveのURLは、移行後に切れます
業務で日常的に使っているファイルから優先的に検証してください。全ファイルを同じ精度で見るのは現実的ではありません。
「並行運用期間」を設けるかどうか
この事例では、移行後1ヶ月間GWSを並行運用しています。旧環境をすぐに解約せず、一定期間残す判断です。
並行運用にはライセンス費が二重にかかりますが、次のメリットがあります。
- 移行漏れが見つかったときに、旧環境から取り出せる
- 「あのファイルが見つからない」という問い合わせに対応できる
- 移行直後のトラブルで業務が止まるリスクを下げられる
70名規模でGWS Business Starter(月額800円)なら、1ヶ月の並行運用コストは約5.6万円です。移行漏れによる業務停止のリスクと比べれば、保険として合理的な範囲と判断できます。
社員教育を軽視すると定着しない
技術的な移行が完了しても、社員が使い方に戸惑えば生産性は落ちます。GmailからOutlook、Google DriveからOneDrive/SharePointへの切り替えは、操作体系がかなり異なります。
最低限、次は事前に伝えておく必要があります。
- メールの画面がどう変わるか(スレッド表示の違いは特に戸惑いやすい)
- ファイルをどこに保存すべきか(OneDrive と SharePoint の使い分け)
- 会議の入り方(Meet から Teams へ)
- 困ったときの問い合わせ先
「マニュアルを配布した」だけでは伝わりません。短時間でも説明の場を設けるほうが、結果的に問い合わせが減ります。
移行時期の選び方
繁忙期を避けるのが原則です。加えて、メールの切り替え(DNS変更)は週末に実施するのが一般的です。平日に切り替えると、伝播中のメールの扱いが問題になります。
決算期、監査対応期、大型案件の納品直前は避けてください。移行トラブルと業務のピークが重なると、対応の余力がなくなります。
まとめ
- 移行の決め手は機能比較より取引先の環境・セキュリティ要件・業務システム連携・AI活用方針という外的要因
- 今の不便が何に起因しているかを特定してから判断する。運用ルールの不在は移行しても解決しない
- 最も工数がかかるのは変換後の検証。関数・書式・Apps Script・共有リンクが要注意
- 検証は日常的に使うファイルから優先する。全ファイルを同精度で見るのは非現実的
- 並行運用期間を設ける判断は合理的。70名・Starterなら1ヶ月で約5.6万円の保険
- 操作体系が大きく変わるため、社員教育を省くと定着しない。短時間でも説明の場を設ける
- DNS切り替えは週末に。繁忙期・決算期・監査対応期は避ける
プラットフォーム移行は一度きりの作業ですが、失敗すると業務への影響が大きい領域です。移行を検討している場合は、情シス365の無料相談でご相談ください。現在の料金は料金ページをご覧ください。