EDR製品比較2026 ― CrowdStrike / Defender for Endpoint / SentinelOne / ESET ― 中小企業の選び方
ランサムウェア・標的型攻撃が中小企業にも確実に届くようになり、ウイルス対策ソフト(AV)の延長線上のままでは守れない時代です。**EDR(Endpoint Detection and Response)**は2026年現在、中堅・中小企業でも標準装備になりつつあります。
しかしEDR製品はそれぞれ思想が違い、「運用してくれる人がいる前提」のものと「情シスでも運用できる」ものに分かれます。本記事では中小企業で導入候補に挙がる CrowdStrike Falcon / Microsoft Defender for Endpoint / SentinelOne Singularity / ESET Inspect の4製品を比較します。
EDRと従来AVの違い
| 観点 | 従来型AV | EDR |
|---|---|---|
| 検知方式 | シグネチャ(既知マルウェア) | 振る舞い検知+AI |
| 未知の脅威 | × | ◎ |
| 侵入後の挙動可視化 | × | ◎ |
| 自動隔離・対処 | △ | ◎ |
| ログ保管 | △ | ◎(30〜90日標準) |
| 運用 | 「入れたら終わり」 | 「運用して活きる」 |
4製品のポジショニング
| 製品 | ポジション | 一言で言うと |
|---|---|---|
| CrowdStrike Falcon | EDRの代名詞・大企業の定番 | 「検知精度と脅威インテリジェンスが最強」 |
| Microsoft Defender for Endpoint | M365統合・コスト最強 | 「M365企業ならまず検討すべきEDR」 |
| SentinelOne Singularity | 自律型EDR・自動対処に強い | 「人手不足の組織でも運用しやすい」 |
| ESET Inspect | 国内シェア高・日本語サポート充実 | 「ESETを既に使っている企業の自然な拡張」 |
機能比較
| カテゴリ | CrowdStrike | Defender for Endpoint | SentinelOne | ESET Inspect |
|---|---|---|---|---|
| 振る舞い検知 | ◎ | ◎ | ◎ | ○ |
| AI / 機械学習 | ◎ | ◎ | ◎(自律型に強み) | ○ |
| 自動隔離 | ◎ | ◎ | ◎ | ○ |
| 脅威ハンティング | ◎ | ◎ | ◎ | ○ |
| 日本語サポート | ○(パートナー経由) | ◎ | ○(パートナー経由) | ◎ |
| 24時間監視(MDR) | ◎ Falcon Complete | ◎ Defender Experts | ◎ Vigilance | ◎(パートナー) |
| 軽量性 | ◎ | ○ | ◎ | ◎ |
| Mac / Linux | ◎ | ◎(Mac/Linuxも) | ◎ | ◎ |
| モバイル(iOS/Android) | ◎ | ◎ | ◎ | △ |
| OT / IoT | ◎ | ○ | ◎ | △ |
料金感(中小企業100名の目安)
2026年4月時点・税別・概算:
| 製品 | プラン | 月額(100名) |
|---|---|---|
| CrowdStrike Falcon | Falcon Pro | 約 $1,500(@$15/台) |
| CrowdStrike Falcon | Falcon Complete(24/7監視) | 約 $3,500〜 |
| Defender for Endpoint | Plan 2 | 約 $540(@$5.40/台、別途要) |
| Defender for Endpoint | M365 E5 / Business Premiumに内包 | 統合ライセンスで実質追加コスト無 |
| SentinelOne Singularity | Core | 約 $700(@$7/台) |
| SentinelOne Singularity | Complete + Vigilance | 約 $1,800〜 |
| ESET Inspect | クラウド版 | 約 $800(@$8/台前後) |
製品別の評価
CrowdStrike Falcon
- ◎ 検知精度はトップクラス:MITRE ATT&CK 評価で常に上位
- ◎ 脅威インテリジェンス(CrowdStrike Intel)が秀逸:攻撃者の追跡情報を持っている
- ◎ Falcon Completeの完全マネージドが優秀:24時間監視・対処を丸投げ可
- △ コストが高い:中小では「Falcon Complete(マネージド)」前提で予算確保
- △ エージェントが軽い反面、設定の柔軟性は控えめ
Microsoft Defender for Endpoint
- ◎ M365 Business Premium / E5 に内包:実質追加コスト不要のケース多
- ◎ Sentinel・Purview・Intuneとの統合:Microsoft Defender XDRとして動作
- ◎ 日本語管理画面・サポート:情シスが自分で運用しやすい
- ○ 検知精度も上位:MITRE評価で年々改善
- △ Defender Experts(24時間監視)は別契約:Plan 2上で利用可
- △ 管理画面が複雑になりがち
SentinelOne Singularity
- ◎ 自律型EDR:人が判断する前にAIが自動対処
- ◎ Storyline機能:攻撃の流れを時系列でビジュアル化
- ◎ 軽量で安定:AVリプレース実績多数
- ○ コスト中位:CrowdStrikeより安く、Defenderより高い
- △ 国内サポートは販売パートナー次第:販社選びが重要
ESET Inspect
- ◎ 国内導入実績豊富:日本語管理・日本人サポート
- ◎ 既存ESET AVからの自然な拡張:レガシーAV→EDRの移行先
- ○ CPU負荷が低い:レガシー端末でも動く
- △ 検知精度は3製品より一歩下:高度な振る舞い検知では物足りないケース
- △ モバイル・SaaSの可視性は弱い
選び方のフローチャート
Q1: 既存環境は?
├─ M365 Business Premium / E5 ある → Defender for Endpoint(実質追加なし)
├─ ESET Endpoint Antivirus 使用中 → ESET Inspect(移行コスト最小)
├─ EDR専業を選びたい → CrowdStrike or SentinelOne
Q2: 24時間監視(MDR)が必要?
├─ 必要・社内に運用人材なし → CrowdStrike Falcon Complete or SentinelOne Vigilance
├─ 平日日中+アラート対応のみ → Defender for Endpoint Plan 2
└─ 自社で全部運用する → どれでも可
Q3: コスト優先度は?
├─ 最重要 → Defender for Endpoint(M365統合)
├─ 中位 → ESET / SentinelOne
└─ 性能重視 → CrowdStrike Falcon
導入時のチェックポイント
- 対象OS:Windows / Mac / Linux / iOS / Android のすべてをカバーするか
- 既存AVの除外設定:併用すると競合・誤検知の原因に
- 管理コンソールの権限分離:情シス・SOC・経営の権限設計
- アラート対応フロー:誰が、何時間以内に、どう対応するか
- MDR契約の有無:社内対応か外部委託か
- SIEM連携:Microsoft Sentinel / Splunk / Chronicle 等との統合
- ログ保管期間:90日以上が望ましい
- レポート機能:経営層向けセキュリティ報告に使えるか
まとめ
中小企業のEDR選定は「M365契約があるか」で大きく分岐します。Business Premium / E5 を持っている企業は Defender for Endpoint が最もコスパ良く、それ以外なら CrowdStrike Falcon Complete か SentinelOne Vigilance を24時間監視前提で導入するのが安全です。ESET Inspect は既存AVからの拡張として最も摩擦が少ない選択肢です。
「EDR入れたけど運用できていない」状態が最大のリスクです。**運用設計(誰がアラートを見て判断するか)**を製品選定とセットで設計することが、被害局所化の最大の鍵になります。
情シス365のSecurity365では、EDR選定・導入から24時間体制の運用代行(MDR)、SIEM・SOAR連携まで一気通貫でご支援しています。
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