ビデオ会議AI機能比較:Zoom AI Companion・Gemini in Meet・Copilot in Teams
ビデオ会議は2026年現在、「録画する/文字起こしする」段階を越え、AIが要約しタスクを自動抽出する段階に入りました。Zoom、Google Meet、Microsoft TeamsのいずれもAIアシスタント機能を標準搭載・もしくはアドオンで提供しており、会議体験が大きく変わっています。
本記事では3製品のAI機能を、機能・コスト・データ取り扱い・運用面で比較します。製品全体の比較はビデオ会議3製品比較:Zoom vs Microsoft Teams vs Google Meetを参照してください。
各製品のAI機能の名称と立ち位置
| 製品 | AI機能名 | 提供形態 |
|---|---|---|
| Zoom | AI Companion(旧Zoom IQ) | Zoom有償ライセンス(Pro以上)に追加料金なしで標準付帯 |
| Google Meet | Gemini in Meet(旧Duet AI in Meet) | Google Workspace Business Standard以上で利用可能(Gemini for Workspaceとして組み込み) |
| Microsoft Teams | Microsoft 365 Copilot | 別途ユーザーあたり月額$30前後の追加ライセンスが必要 |
最大の違いは料金体系です。Zoomは既存ライセンスに含まれて追加課金不要、Googleは2024〜2025年に統合料金へ移行、Microsoftは別ライセンス必須という構造になっています。
主要機能の比較
1. リアルタイム要約・議事録生成
| 機能 | Zoom AI Companion | Gemini in Meet | Copilot in Teams |
|---|---|---|---|
| 会議終了後の自動要約 | ◎ メール通知+クラウド保存 | ◎ Docsに自動出力 | ◎ Loop / OneNoteへ出力 |
| リアルタイム要約(途中参加者向け) | ◎ “Catch me up” 機能 | ◎ “Summary so far” | ◎ “What did I miss?” |
| 議事録の構造化(議題別) | ○ | ◎ Docsテンプレで強い | ◎ アジェンダ連携が強い |
| アクションアイテム抽出 | ◎ | ◎ | ◎(Plannerと連携) |
リアルタイムキャッチアップ機能はどの製品も持っており、会議に途中参加した人が「何が話されたか」を即座に把握できます。差は要約の保存先と再利用性で、MicrosoftはLoop/Plannerにシームレスに繋がるのが強みです。
2. 多言語対応・翻訳
| 言語数 | Zoom | Meet | Teams |
|---|---|---|---|
| ライブキャプション | 30言語以上 | 70言語以上 | 40言語以上 |
| ライブ翻訳キャプション | 35言語以上の組み合わせ | 50言語以上の組み合わせ | 40言語以上 |
| 議事録の多言語要約 | ○ | ◎(Geminiの強み) | ○ |
多言語対応はGemini in Meetがリードしています。Googleの翻訳基盤と統合され、海外拠点や多国籍メンバーが多い企業ではアドバンテージになります。Zoomもグローバル対応は強く、Teamsは欧米言語が中心です。
3. 検索・横断問い合わせ(自然言語)
| 機能 | Zoom | Meet | Teams |
|---|---|---|---|
| 過去の会議内容を自然言語で検索 | △(Workplaceスイート連携で部分対応) | ○(Geminiでメール・Docs横断) | ◎(M365全体を横断) |
| 「先週の予算会議で〇〇は何と言った?」 | △ | ○ | ◎ |
| 会議+チャット+メールを統合した提案 | △ | ○ | ◎(Copilotの真骨頂) |
横断検索ではCopilot in Teamsが最強です。M365全体(Outlook、SharePoint、OneDrive、Teamsチャット、会議録音)を一つのコンテキストとして扱えるため、「あの案件、最近どこまで進んだ?」のような曖昧な問いに答えられます。Geminiも同様の方向に進化中。
4. タスク・カレンダー自動化
| 機能 | Zoom | Meet | Teams |
|---|---|---|---|
| 議事録からタスク自動作成 | ○(Zoom Tasks) | ○(Google Tasks連携) | ◎(Planner / To Do / Loop) |
| 会議招集メールの下書き作成 | △ | ◎(Gemail連携) | ◎(Outlook連携) |
| フォローアップメール自動生成 | ◎ | ◎ | ◎ |
タスク管理基盤との統合は Microsoft(Planner / To Do / Loop) > Google(Tasks) > Zoom。Zoomは2024年頃からZoom Workplaceでタスク機能を強化していますが、エンタープライズの業務基盤としてはMicrosoft / Googleに分があります。
5. 動画・スライド生成・表現支援
| 機能 | Zoom | Meet | Teams |
|---|---|---|---|
| 会議内のスライドAI支援 | × | ○(Gemini in Slides) | ◎(Copilot in PowerPoint) |
| ホワイトボードAI生成 | ◎(AI Companion Whiteboard) | ○ | ◎(Copilot in Whiteboard) |
| 会議のハイライト動画自動生成 | ◎(Zoom Clips連携) | △ | ○(Stream連携) |
ホワイトボード生成や動画クリップ作成ではZoomが意外に強いです。Zoom AI Companion Whiteboardは「ブレストを画像付きでまとめる」用途で評価が高く、デザイン会議系では選ばれています。
コスト構造の比較
中堅企業100名の場合の概算コスト(2026年4月時点・税別・米ドル建て表記時は$):
| 製品構成 | AI機能込み月額(100名) | 備考 |
|---|---|---|
| Zoom Pro + AI Companion | 約 $1,500($15×100) | AI機能は追加料金なし |
| Google Workspace Business Standard + Gemini | 約 $1,440($14.40×100) | 2024年以降、Gemini組み込み |
| Microsoft 365 Business Standard + Copilot | 約 $1,250 + $3,000 = $4,250 | Copilotが別途$30 |
Copilotのユーザーあたり$30は、AIの統合度合いが高い分だけ料金が大きく跳ね上がります。全社員にCopilotを配るのではなく、まずは経営層・営業・企画など効果の高い役割から配布する企業が増えています。
データ取り扱い・セキュリティ
| 観点 | Zoom AI Companion | Gemini in Meet | Copilot in Teams |
|---|---|---|---|
| 会議内容を学習に使うか | 使わない(明記) | 使わない(Workspace) | 使わない(M365) |
| データ保存先 | テナント内 | テナント内(Workspace内) | テナント内(M365内) |
| 管理者による機能ON/OFF | ◎ 管理コンソール | ◎ Admin Console | ◎ Microsoft 365 Admin |
| 監査ログ | ○ | ◎ | ◎(Purview統合) |
| DLP連携 | △ | ◎(DLP for Workspace) | ◎(Purview / Sensitivity Label) |
DLP・機密情報保護の観点ではGoogleとMicrosoftが先行しています。Copilotは「機密ラベル」が付いたファイルを自動的に取り扱い制御し、SharePointの機密情報がうっかり要約に出ることを防げます。Zoomは会議体験の品質では強いものの、データ保護の細かさではエンタープライズ機能でMicrosoft/Googleに見劣りします。
選び方の指針
Zoom AI Companionが向く企業
- 既にZoomを主軸としていて、追加コストを抑えたい
- 会議の録画・要約・ホワイトボード活用が中心
- 営業会議・お客様との会議が多く、Zoomブランドが取引先で浸透している
Gemini in Meetが向く企業
- Google Workspaceを業務基盤としている
- 多国籍・多言語の社員構成
- Docs / Slides / Sheetsが業務の中心で、AI支援を一気通貫で受けたい
Microsoft Copilot in Teamsが向く企業
- M365を業務基盤としている
- 会議+メール+チャット+ドキュメントを横断したAI活用を求める
- 機密データ保護(Purview / Sensitivity Label)の統合運用が必要
導入時の落とし穴
- 会議参加者の同意:AI議事録が動いていることを参加者全員に明示する。社外の方を巻き込む会議では事前確認を。
- 個人情報・機密情報の扱い:人事評価会議、M&A交渉、法務会議などはAI議事録をオフにするポリシーが必要。
- 記録の保存期間:自動生成された議事録・要約・録画の保存期間をガバナンス文書で定める。デフォルト無期限はリスク。
- ゲスト参加者の制御:社外ユーザーが参加する会議でAIをどう動かすか、管理者ポリシーで制御。
- 既存議事録運用との統合:「議事録担当」が形骸化するため、AI議事録を正式な記録として扱うのか、参考メモなのかを社内定義する。
まとめ
| 評価軸 | 強い製品 |
|---|---|
| コストパフォーマンス | Zoom AI Companion |
| 多言語・翻訳 | Gemini in Meet |
| 横断検索・業務統合 | Microsoft Copilot in Teams |
| 機密情報保護・ガバナンス | Microsoft / Google(同等) |
| ホワイトボード・クリエイティブ | Zoom AI Companion |
「とにかくAI議事録を全社員に配りたい」ならコスト的に Zoom か Google が優位、「ナレッジ基盤として全社的に活用したい」なら Microsoft Copilot がベストフィットです。中小企業では既存基盤に乗せるのが最も合理的です ―― つまりM365企業はCopilot、Workspace企業はGemini、Zoomを中心に使ってきた企業はAI Companionから始めるのが定石です。
情シス365では、ビデオ会議AI機能の導入支援、利用ガイドライン策定、Copilot展開(Microsoft Copilot 段階的展開ガイド参照)をワンストップでご支援しています。
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