ビデオ会議3製品比較:Zoom vs Teams vs Google Meet ― 機能・コスト・会議室デバイス
ビデオ会議は2020年以降の働き方の標準になり、もはや「導入するかどうか」ではなく「どの製品を主軸にするか」を決める段階に入っています。Microsoft Teams、Google Meetはそれぞれの基盤SaaSに含まれているため「自動的にそれを使うことになる」企業も多い一方、Zoomを別軸で導入している組織も少なくありません。
本記事では、Zoom、Microsoft Teams、Google Meetの3製品を、ビデオ会議としての機能・コスト・運用観点で比較します。チャット中心の比較はビジネスチャット比較:Teams vs Slack vs Google Chatを参照してください。
3製品の立ち位置
Zoom
ビデオ会議専業ベンダーとして圧倒的な認知度を持ち、外部接続性(社外との会議)の手軽さで支持されています。Zoom Webinars、Zoom Events、Zoom Phone、Zoom Roomsなど、会議周辺の機能群を独立した製品として強化しており、ウェビナー・大規模イベント・電話統合の領域で先行しています。
Microsoft Teams
Microsoft 365に統合されたコラボレーション基盤で、ビデオ会議は数ある機能の一つです。チャット、ファイル共有、SharePoint連携、Power Automateとの統合、Teams Premium(AI議事録、ウォーターマーク、暗号化等)まで、業務全体の中核として位置づけられます。
Google Meet
Google Workspaceに統合されたビデオ会議で、シンプルでブラウザベースのアクセスのしやすさが強みです。Gmail、カレンダー、Driveとの統合がスムーズで、Workspace Enterprise Plusでは最大1000人参加、ノイズキャンセリング、文字起こし、Geminiによる議事要約も利用できます。
比較軸1:会議の基本機能
| 観点 | Zoom | Microsoft Teams | Google Meet |
|---|---|---|---|
| 通常会議の最大人数 | 1000人(大規模ミーティング有償アドオン) | 1000人(Premium超で1万人) | 1000人(Enterprise Plus) |
| ウェビナー | Zoom Webinars(最大1万人〜100万人イベント) | Live Events / Town Hall | Google Meet Webinars(〜1000人) |
| ブレイクアウトルーム | 標準 | 標準 | 標準 |
| AI議事録・要約 | AI Companion | Copilot in Teams | Gemini in Meet |
| 録画 | クラウド/ローカル | クラウド(OneDrive) | クラウド(Drive) |
| 同時通訳・字幕 | リアルタイム字幕、通訳機能 | 字幕、Premium版で翻訳 | 字幕、Enterprise Plusで翻訳 |
中小企業の通常会議用途では、3製品とも機能的に十分です。差が出るのはウェビナー、大規模イベント、AI機能の品質、運用ガバナンスの領域です。
比較軸2:ウェビナー・大規模イベント
外部向けウェビナー、株主総会、全社イベントを定期的に開催する企業ではZoomが頭一つ抜けています。Zoom Webinars、Zoom Eventsは登録ページ作成、配信、視聴データ分析、Q&A管理、登壇者切替などのウェビナー特有機能が成熟しており、運用コストを抑えやすい設計です。
Microsoft TeamsもLive Events/Town Hallで大規模配信が可能ですが、運用画面は管理者向けで、マーケティング部門が単独で運用するにはやや学習コストがあります。Google Meet Webinarsは比較的新しい機能で、現時点では機能の幅と運用ノウハウの蓄積でZoomに分があります。
比較軸3:会議室デバイス・ハイブリッドワーク
オフィスの会議室にハードウェアを導入する場合、認証された会議室デバイスのラインアップ、デプロイの容易さ、保守の手間で違いが出ます。
- Zoom Rooms:豊富な認定デバイス(Logitech、Poly、Yealink、Neat等)。Zoom Rooms Controllerで一元管理。デバイス・ソフトの両軸で実績豊富。
- Microsoft Teams Rooms:Surface Hub、Logitech、Polyなど認定デバイスあり。Teams Rooms Pro Managementで遠隔運用。Microsoft 365管理者が一元管理できる利点。
- Google Meet Hardware:Logicool(Rally Bar)、ASUS Chromeboxベースのデバイス。シンプルで管理が軽い反面、デバイスの選択肢はZoom/Teamsに比べて限定的。
会議室を10室以上展開する場合、調達コスト、運用工数、既存基盤との整合性を踏まえた事前設計が重要です。
比較軸4:ライセンスとコスト
| 製品 | 主なライセンス形態 | コスト感 |
|---|---|---|
| Zoom | Workplace Pro/Business/Business Plus/Enterprise。Webinars・Phoneは別アドオン | 単独契約のため、Zoom分の費用が純増 |
| Microsoft Teams | M365 Business Basic以上に含まれる。Teams Phone、Teams Premiumは別アドオン | M365契約の中でカバーされ、追加コストは限定的 |
| Google Meet | Google Workspace Business Starter以上に含まれる。Enterprise Plusでウェビナー等が解放 | GWS契約の中でカバーされ、追加コストは限定的 |
純粋なコスト面では、すでにM365もしくはGWSを利用している企業にとっては、Teams/Meetが「追加費用ゼロで使える」最有力候補となります。Zoomを使う場合は、その追加投資に見合うウェビナー・電話・会議室機能の活用を前提に評価します。
ライセンス比較はM365ライセンス比較ガイド、Google Workspace BusinessとEnterpriseの違いも参考にしてください。
比較軸5:ガバナンス・セキュリティ
3製品ともエンタープライズ要件に応える機能を備えていますが、運用観点では以下の差があります。
- Zoom:エンドツーエンド暗号化、ウォーターマーク、データ保管リージョン選択。SSO(SAML/OIDC)対応。
- Microsoft Teams:Entra IDネイティブ、条件付きアクセス、Microsoft Purview(DLP、保持、eDiscovery)と統合。Microsoft 365全体のガバナンスに巻き取れる強み。
- Google Meet:Google Vault連携、コンテキストアウェアアクセス、データリージョン制御。Workspace全体のガバナンスに統合。
社外との会議でDLP・録画ポリシー・参加制御を厳格に運用したい場合、Microsoft 365を主基盤とする企業ではTeamsの統合管理が運用効率で優位です。
中小・中堅企業の選び方
M365を主基盤としている企業:まずはTeamsを主軸に据え、ウェビナーや大規模イベントの頻度が高い場合のみZoom Webinarsを併用するのが定石です。
Google Workspaceを主基盤としている企業:Google Meetを主軸とし、ウェビナー機能やZoom Phoneが必要な場合にZoomを部分導入します。
外部とのコラボレーション・ウェビナーが業務の中核:Zoomを主軸とし、社内コミュニケーションは別途Teams/Slack/Google Chatを利用する構成が現実的です。
業界特性で社外参加者の利便性が重要(士業、コンサル、医療等):参加者ハードルの低いZoomがいまだに最有力です。
併用パターンも視野に
「1社1製品」に固執すると、特定用途で不便が出ます。たとえば社内会議はTeams、外部ウェビナーはZoomという併用は、コスト次第では十分合理的です。利用統計(誰がどの会議製品をどれくらい使っているか)を半年ごとにレビューし、片方への一本化や追加機能契約の見直しをかけると、ライセンス費の最適化が継続的に進みます。
SaaSのライセンス棚卸しの進め方はSaaSライセンス棚卸しガイドを参照してください。
導入・運用支援のご相談
製品選定だけでなく、移行計画、会議室デバイス調達、SSO・ガバナンス設計、ユーザー教育まで含めて伴走支援が必要な場合は、お気軽にご相談ください。