建設業 従業員数:〜100名

事業承継に伴うIT環境の刷新 ― 地方建設業のDXを伴走支援

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導入の背景

S社は新潟県に本社を構える建設業で、従業員約60名、本社と資材置場の2拠点で事業を展開しています。創業40年を超える地域密着型の建設会社で、公共工事と民間住宅の施工を主力としています。

2025年に先代社長から長男への事業承継が行われました。新社長は大手ゼネコンでの勤務経験があり、現場のデジタル化や業務効率化の重要性を理解していましたが、S社のIT環境は先代社長の時代から大きく変わっておらず、紙とFAXを中心とした業務フローが根強く残っていました。

新社長は就任後、社内のIT環境を抜本的に見直したいと考えましたが、社内にITに詳しい人材はおらず、経理担当者がPCの設定やプリンターのトラブル対応を兼任している状態でした。地方の建設業という業界特性もあり、IT人材の採用は現実的ではなく、外部の専門家に伴走してもらいながらIT環境を刷新したいと考え、情シス365にご相談いただきました。

抱えていた課題

S社がご相談時に抱えていた課題は、大きく3つありました。

紙・FAX中心の業務フローが業務効率を下げていた。 見積書、注文書、工事日報、安全書類といった業務書類のほとんどが紙で管理されていました。取引先とのやり取りはFAXが中心で、受信したFAXを手作業でファイリングし、キャビネットに保管するという運用が続いていました。過去の書類を探すのに時間がかかる、保管スペースが不足する、紛失のリスクがあるといった問題が日常的に発生していました。また、工事台帳や原価管理はExcelで行っていましたが、ファイルがローカルPCに保存されており、担当者しかアクセスできない状態でした。

現場と本社の情報共有が困難だった。 建設業では、施工現場と本社の間でリアルタイムに情報を共有することが重要ですが、S社では現場監督が本社に戻ってから報告を行うか、電話で口頭連絡するという方法が中心でした。現場の写真は現場監督のスマートフォンに保存されたまま整理されず、工事完了後に写真を集めて報告書を作成するのに大きな手間がかかっていました。天候や工程の変更といった緊急の情報共有も、電話の伝言ゲームになりがちで、情報の抜け漏れが発生することがありました。

IT管理が属人化し、全体像が把握できていなかった。 社内のPCは約60台ありましたが、いつ購入したのか、どのようなソフトウェアがインストールされているのか、OSのバージョンは最新なのかといった基本的な情報が管理されていませんでした。インターネット回線やプロバイダの契約内容、複合機のリース契約なども、契約書がファイリングされているだけで、更新時期や費用の全体像を把握できている人がいない状態でした。新社長が就任後にIT環境の現状を把握しようとしましたが、断片的な情報しか得られず、何から手を付ければよいか分からない状況でした。

支援の全体像

情シス365によるS社への支援は、3つのフェーズで進めました。まずStart365で現状把握とIT戦略の策定を行い、その計画に基づいてProject365でMicrosoft 365の導入と業務電子化を実行し、安定運用に移行した後はSupport365で継続的にIT運用を支援しています。

フェーズ期間内容
Phase 1:現状調査・IT戦略策定(Start365)1ヶ月目IT環境の棚卸し、課題の整理、IT戦略・ロードマップの策定
Phase 2:Microsoft 365導入・業務電子化(Project365)2〜5ヶ月目M365導入、ファイル共有のクラウド化、Teams活用、業務フロー電子化
Phase 3:安定運用(Support365)6ヶ月目〜日常IT運用、ヘルプデスク、定着化支援、月次報告

Phase 1:現状調査・IT戦略策定(Start365 / 1ヶ月目)

情シス365はまず、S社のIT環境の全体像を把握することから始めました。新社長へのヒアリングと現地訪問を通じて、現状の課題を整理し、目指すべきIT環境の姿を明確にしました。

IT資産の棚卸し: 社内のPC約60台、複合機、ネットワーク機器(ルーター、スイッチ、無線AP)の一覧を作成しました。各PCの導入時期、OSバージョン、スペックを確認し、更新が必要な端末を特定しました。Windows 10のサポート終了を見据え、Windows 11への移行が必要な端末のリストも作成しました。

契約・コストの可視化: インターネット回線、プロバイダ、複合機リース、ソフトウェアライセンスなど、IT関連の契約を一覧化し、年間コストの全体像を可視化しました。不要な契約や重複したサービスも洗い出しました。

IT戦略・ロードマップの策定: 新社長の経営方針と現場の実態を踏まえ、S社のIT環境を段階的に刷新するロードマップを策定しました。「まずは全社員がクラウドで情報共有できる環境を整える」ことを最優先とし、Microsoft 365の導入を核としたIT戦略を提案しました。建設業の業務特性を考慮し、現場からスマートフォンで利用できる環境の構築を重視しました。

Phase 2:Microsoft 365導入・業務電子化(Project365 / 2〜5ヶ月目)

Microsoft 365の導入と基盤構築

Microsoft 365 Business Premiumの導入: 全社員分のMicrosoft 365ライセンスを導入しました。メール環境をExchange Onlineに移行し、SPF、DKIM、DMARCの設定によりメールセキュリティを確保しました。これまでプロバイダのメールサービスを利用していましたが、独自ドメインでのメール運用に移行し、企業としての信頼性も向上しました。

SharePoint Online / OneDriveによるファイル共有: ローカルPCに散在していた業務ファイルをSharePoint Onlineに集約しました。部門ごと(総務、工事、営業)にサイトを作成し、アクセス権限を設定。工事案件ごとのフォルダ構成を標準化し、誰でも必要なファイルにアクセスできる環境を整えました。

MFA(多要素認証)の全社展開: Microsoft Authenticatorを使った多要素認証を全社員に展開しました。スマートフォンを持っていない社員にはSMS認証を設定し、全員がセキュアにMicrosoft 365にアクセスできるようにしました。

Microsoft Teamsによる現場と本社の情報共有

Teamsの導入と活用促進: Microsoft Teamsを全社に導入し、現場と本社のコミュニケーション基盤として活用を開始しました。工事案件ごとにチームを作成し、現場監督、工事担当者、営業担当者が同じチャネルで情報を共有できる仕組みを構築しました。

現場からの写真・報告のデジタル化: 現場監督がスマートフォンのTeamsアプリから写真を撮影してチャネルに投稿する運用を導入しました。これにより、現場の状況がリアルタイムに本社で把握できるようになりました。工事の進捗状況、安全上の懸念点、天候による工程変更といった情報が、電話の伝言ゲームではなく、テキストと写真で正確に共有されるようになりました。

ビデオ通話の活用: 現場でのトラブルや判断が必要な場面で、Teamsのビデオ通話を活用し、本社の技術者が現場の状況をリアルタイムで確認しながらアドバイスを行う運用も定着しました。

業務フローの電子化

見積書・注文書の電子化: ExcelとSharePointを組み合わせ、見積書や注文書のテンプレートを標準化しました。作成したファイルはSharePoint上で管理され、過去の見積もりの検索や再利用が容易になりました。

FAXの段階的な削減: 取引先との関係もあり、FAXを一気に廃止することは難しいものの、受信したFAXをPDF化してSharePointに保存するフローを構築し、紙のファイリング作業を削減しました。新規の取引先に対しては、メールでのやり取りを推奨する方針としました。

社員向け操作説明会: Microsoft 365の基本操作について、事務職向けと現場職向けに分けて説明会を実施しました。特に現場職の社員にはスマートフォンでのTeams操作に絞った説明を行い、操作手順書も配布しました。ITに不慣れな社員が多い環境のため、個別のフォローアップも丁寧に実施しました。

Phase 3:安定運用(Support365 / 6ヶ月目〜)

IT運用

Microsoft 365の導入と業務フローの電子化が完了した後は、日常のIT運用を継続的にリモートで支援しています。

ヘルプデスク対応: 社員からのIT関連の問い合わせ(Microsoft 365の操作方法、PCのトラブル、プリンターの不調など)にリモートで対応しています。ITに不慣れな社員も多いため、丁寧な説明を心がけ、同じ質問が繰り返される場合はFAQ文書を作成して共有しています。

アカウント・ライセンス管理: 入退社に伴うMicrosoft 365アカウントの作成・削除、ライセンスの割当管理を代行しています。退職者のアカウント停止漏れによる情報漏洩リスクを防ぐため、人事担当者との連携フローを整備しました。

定着化支援: Microsoft 365の活用が社内に定着するよう、利用状況を定期的に確認し、活用が進んでいない部門や社員に対して個別のフォローアップを行っています。「紙に戻ってしまう」ことを防ぐため、新しい運用のメリットを実感してもらえるよう継続的にサポートしています。

月次報告会

月に1回、オンラインでの報告会を新社長に対して実施しています。ヘルプデスクの対応状況、Microsoft 365の利用状況(Teamsの利用率、SharePointへのアクセス数など)、IT環境の改善提案を報告しています。新社長がIT環境の現状を数値で把握し、次の投資判断に活用できる情報を提供しています。

情シス365の関わり方

S社への支援は、リモートを中心とした体制で運用しています。Phase 1の現地調査とPhase 2の初期セットアップ時には新潟本社を訪問しましたが、Phase 3以降は基本的にリモートでの対応で完結しています。ヘルプデスク対応はリモートデスクトップツールを活用し、社員のPCに接続して直接サポートを行っています。

事業承継という大きな転換期にあるS社に対して、情シス365は単なるIT業者ではなく、新社長のIT戦略パートナーとしての役割を果たしています。経営方針に沿ったIT投資の優先順位付けや、段階的なデジタル化のロードマップ策定など、経営視点でのIT支援を提供しています。

導入後の成果

業務効率が大幅に改善した。 紙・FAX中心だった業務フローがMicrosoft 365で電子化されたことにより、書類の作成・検索・共有にかかる時間が大幅に削減されました。過去の見積書を探すのに30分かかっていた作業が、SharePointの検索で数秒で完了するようになりました。工事日報の作成・提出もTeams経由で行えるようになり、現場監督が事務所に戻って紙の日報を書く手間がなくなりました。

現場と本社の情報共有がリアルタイムになった。 Teamsの導入により、現場の状況がリアルタイムに本社で把握できるようになりました。現場からの写真共有、ビデオ通話による技術相談、工程変更の即時共有など、コミュニケーションの質とスピードが大きく向上しました。「電話で伝えたはずなのに伝わっていない」「メモが見つからない」といった情報の抜け漏れが減少し、工事の品質向上にもつながっています。

次世代の経営基盤が確立した。 事業承継を機にIT環境を刷新したことで、新社長が目指す「デジタルを活用した効率的な経営」の基盤が整いました。IT資産の可視化、契約・コストの管理体制、クラウドベースの情報共有基盤など、今後の事業成長を支えるIT環境が構築されました。将来的な施工管理アプリの導入やペーパーレス化のさらなる推進に向けた土台ができています。

プロジェクト概要

項目内容
業種建設業
従業員規模約60名
拠点数2拠点(本社 + 資材置場)
所在地新潟県
支援期間IT戦略策定・M365導入 5ヶ月 + 継続運用中
提供サービスStart365 + Support365 + Project365
主な施策IT資産棚卸し・契約可視化、IT戦略・ロードマップ策定、M365導入(Exchange Online / SharePoint / Teams)、MFA全社展開、現場と本社の情報共有基盤構築、業務フロー電子化、社員向け操作説明・定着化支援

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