AI議事録ツール完全比較【2026年版】― Teams Premium・Gemini in Meet・Notta・tl;dv・Otter・Zoom AI Companion を中小企業視点で評価

会議が終わると同時に議事録ができている――AI議事録ツールはここ2年で業務体験を一変させた領域です。中小企業の現場でも「議事録作成の30〜90%削減」を達成する企業が増えており、いまや会議生産性の標準装備になりつつあります。

一方で、Microsoft Teams Premium、Gemini in Meet、Zoom AI Companion などのWeb会議組込み型と、Notta、tl;dv、Otter のような専門ツール型が乱立し、「結局どれを選べばよいか分からない」という声も多く聞かれます。

本記事では、2026年時点の主要AI議事録ツール6製品を、機能・料金・日本語精度・セキュリティ・既存環境統合性の5軸で比較し、中小企業向けの選び方を整理します。

なお、Web会議AI機能全般の比較はビデオ会議AI機能比較:Zoom AI Companion・Gemini in Meet・Copilot in Teams、Microsoft Copilot 全体ガイドはCopilot for Microsoft 365 活用ガイドを参照してください。

AI議事録ツールの2タイプ

タイプ特徴代表製品
Web会議組込み型会議プラットフォーム標準機能Teams Premium、Gemini in Meet、Zoom AI Companion
専門ツール型録音・録画から議事録を生成Notta、tl;dv、Otter

組込み型は既存会議環境との統合性が強み、専門ツール型は複数プラットフォーム横断対面会議にも対応できる柔軟性が強みです。

製品概要

1. Microsoft Teams Premium(Intelligent Recap)

Microsoft の Teams Premium ライセンスに含まれる議事録機能。M365 統合度が圧倒的。

  • 提供:Microsoft
  • 統合:Teams、Outlook、SharePoint、OneDrive
  • データ保管:Microsoft Cloud(テナント内)

2. Gemini in Meet(Take notes for me)

Google Workspace の Gemini Business 以上で利用可能。

  • 提供:Google
  • 統合:Google Meet、Calendar、Drive、Docs
  • データ保管:Google Workspace(テナント内)

3. Zoom AI Companion

Zoom 標準機能(一部プランで無料、その他は追加SKU)。

  • 提供:Zoom
  • 統合:Zoom Meetings、Zoom Phone、Zoom Whiteboard
  • データ保管:Zoom Cloud

4. Notta

日本市場で広く使われている専門ツール。日本語精度に定評。

  • 提供:Notta(中国系企業、日本にローカル拠点)
  • 統合:Teams/Meet/Zoom 録画、ファイルアップ
  • データ保管:AWS Tokyo

5. tl;dv

欧米中心の専門ツール。AIタグ・要約に強み。

  • 提供:tl;dv(ドイツ拠点)
  • 統合:Teams/Meet/Zoom Bot 参加
  • データ保管:EU/USリージョン選択

6. Otter

老舗の専門ツール。英語精度の高さで先行。

  • 提供:Otter.ai(米国)
  • 統合:Teams/Meet/Zoom Bot 参加、Web/モバイル
  • データ保管:US リージョン

料金比較

製品エントリー価格(参考)プラン構成
Teams Premium約1,250円/人/月Teams Premium 単独 or M365 Copilot 含み
Gemini in Meet約2,500円/人/月(Gemini Business)Gemini Business/Enterprise
Zoom AI CompanionZoom 有料プラン契約者は無料(一部機能)Zoom Pro 以上で無料相当機能
Notta約1,400円/人/月(プロ)〜フリー/プロ/ビジネス/エンタープライズ
tl;dv約2,500円/人/月(プロ)〜フリー/プロ/ビジネス/エンタープライズ
Otter約1,700円/人/月(プロ)〜フリー/プロ/ビジネス/エンタープライズ

為替・プラン構成により変動するため、契約前に最新料金を確認してください。価格は2026年5月時点の目安です。

中小企業視点で見ると:

  • 既にM365 / GWS / Zoom を契約済み→ 組込み型の追加コストが最小
  • 複数Web会議プラットフォームを使う → 専門ツール型がコスト効率良い

機能比較

コア機能比較

機能Teams PremiumGemini in MeetZoom AINottatl;dvOtter
リアルタイム文字起こし
録画自動議事録
アクションアイテム抽出
トピック分割
多言語対応◎(日本語強)○(英語強)
翻訳機能○(Premium機能)
話者識別
カスタム用語辞書
議事録AIチャット○(Copilot)○(Gemini)
AI要約

統合性比較

統合先Teams PremiumGemini in MeetZoom AINottatl;dvOtter
Teams 標準×
Google Meet×
Zoom
対面会議録音×××
SharePoint/Drive 保存◎/△△/◎
カレンダー連携
Slack 連携
Notion 連携

日本語精度の比較

日本語精度は2026年現在、以下の傾向があります(実利用ベースの定性評価):

製品日本語精度強み弱み
Teams PremiumM365 統合・標準語精度業界専門用語の認識率
Gemini in Meet文脈理解・要約話者識別の精度
Zoom AI中〜高標準語精度議事録構造化はやや弱め
Notta最高業界用語含む日本語特化、辞書登録海外言語対応は限定的
tl;dv中〜高多言語混在対応日本語特化最適化は弱
Otter英語強、英語混在会議で強み純日本語会議では他より劣る

完全な日本語会議が中心 → Notta が最有力候補。英語混在・グローバル会議が多い → tl;dv または Otter の優位性が出ます。

セキュリティ・データガバナンスの比較

中小企業のAI議事録選定では、機密会議をどう扱えるかが最重要観点です。

データ取扱い

製品データ保管リージョンモデル学習に使う?監査ログ
Teams Premiumテナント設定(日本リージョン可)使わないMicrosoft Purview Audit
Gemini in Meetテナント設定使わないGoogle Workspace 監査
Zoom AIZoom Cloudプランによる(要確認)Zoom Admin
NottaAWS Tokyo学習データから除外可(設定)エンタープライズプランで対応
tl;dvEU or USプランによるビジネス以上
OtterUSプランによるビジネス以上

機密性が高い情報を扱う場合:

  • M365 中心:Teams Premium
  • GWS 中心:Gemini in Meet
  • マルチプラットフォーム:Notta Enterprise

が安全な選択です。

個人情報・機密情報の取り扱い

会議では、社内人事情報・顧客個人情報・契約条件などが議論されます。AI議事録ツールは個人データを処理するため、以下を確認します。

  • データ処理契約(DPA)の締結可否
  • データ保管リージョン
  • アクセス権限管理(社内)
  • 削除依頼への対応(GDPR、個人情報保護法)
  • 第三者監査(SOC 2、ISO 27001)

詳細は生成AIの法務整理 ― 個人情報保護法・著作権を参照してください。

録画通知・同意取得

各国法令で、会議録音・録画の同意取得が求められる場合があります。

  • 日本:原則として参加者通知が必要(私的録音の例外あり)
  • EU(GDPR):明示的同意が必要
  • 米国(州により異なる):双方同意 or 一方同意

AI議事録ツールはほぼ全製品が「録音開始時の自動通知」機能を持ちますが、会議開始前にも参加者に告知するのが運用ベストプラクティスです。

用途別の選び方フレームワーク

質問1|既存の主要Web会議プラットフォームは?

状況推奨ツール
Teams中心Teams Premium
Google Meet中心Gemini in Meet
Zoom中心Zoom AI Companion
マルチプラットフォームNotta、tl;dv

質問2|対面会議の議事録も必要?

状況推奨ツール
対面が多いNotta(モバイル録音強)、Otter
Web会議のみ組込み型でOK

質問3|日本語精度をどこまで求めるか?

状況推奨ツール
業界専門用語多い、日本語精度最重視Notta
標準日本語で十分Teams Premium、Gemini in Meet

質問4|セキュリティ要件は?

状況推奨ツール
エンタープライズ標準(DPA, SOC2等)Teams Premium、Gemini in Meet、Notta Enterprise
機密性は標準いずれでも

質問5|予算規模は?

状況推奨ツール
既存ライセンスを活かしたいTeams Premium、Gemini in Meet、Zoom AI
専門ツール追加投資可Notta、tl;dv、Otter

質問6|国際会議が多い?

状況推奨ツール
英語混在会議多いtl;dv、Otter
多言語切替が頻繁tl;dv(30+言語)、Notta
日本語中心Teams Premium、Gemini in Meet、Notta

中小企業向け推奨パターン

実際の中小企業の構成パターンを示します。

パターン1|Microsoft 365 + Teams 中心(社員50〜150名)

推奨:Teams Premium

理由:
- Teams 会議の標準機能として統合度最高
- M365 Copilot との連携が強い
- Purview による監査・DLP がそのまま適用
- 追加管理コストが最小

パターン2|Google Workspace 中心

推奨:Gemini in Meet(Gemini Business 以上)

理由:
- Google Meet 標準機能として統合
- Google Drive 自動保存
- Workspace ガバナンス内で完結

パターン3|Zoom 中心の企業

推奨:Zoom AI Companion + 補助に Notta

理由:
- Zoom AI Companion は有料プランで実質無料相当
- 日本語精度補強に Notta を併用
- Zoom 録画の自動連携が可能

パターン4|マルチプラットフォーム + 対面会議多い

推奨:Notta Enterprise

理由:
- Teams/Meet/Zoom 横断対応
- 対面会議の録音対応
- 日本語精度最高水準
- AWS Tokyo 保管

パターン5|グローバル会議多い

推奨:tl;dv または Otter

理由:
- 多言語対応
- 翻訳機能
- 英語精度高い
- グローバルチームでの利用実績

導入時の留意点

留意点1|運用ルールの整備

いつ録音するか/録音しないか」を社内ルール化します。

  • 機密性が極めて高い議論(人事評価、M&A、法的訴訟等)は録音しない
  • 顧客との商談は事前同意を取る
  • 録音データの保管期間を決める(6ヶ月〜1年が標準)

留意点2|参加者通知の徹底

会議開始時に「AI議事録ツール使用中」を必ず通知します。

通知例(会議開始時):
「本会議はAI議事録ツールで自動文字起こし・要約が行われます。
 議事録は社内共有を予定しています。
 ご不都合あればこの場でお知らせください。」

留意点3|議事録の最終確認

AI生成議事録はドラフト扱いとし、必ず人間が最終確認します。誤字・誤認識・要約漏れがある前提で運用します。

留意点4|アクションアイテムの管理

AI で抽出されたアクションアイテムを、実際のタスク管理ツール(Planner、Tasks、Asana等)に連携する仕組みを整えます。

留意点5|削除ポリシー

不要になった議事録・録画は、期限を決めて自動削除します。GDPR・個人情報保護法対応として重要です。

留意点6|社員教育

新ツール導入時は、操作方法・運用ルール・禁止事項の3点セットで研修します。

ROI 試算

社員80名・1人月8回の会議参加・1会議平均60分の前提で試算:

■前提
  - 議事録作成時間:15分/会議
  - 月間会議数:80人 × 8回 = 640会議
  - 削減時間:15分 × 90% = 13.5分/会議

■年間効果
  - 月間削減時間:640会議 × 13.5分 = 8,640分 = 144時間
  - 年間削減時間:144 × 12 = 1,728時間
  - 金額効果(時給3,000円換算):518万円/年

■年間コスト
  - Teams Premium:80人 × 1,250円 × 12 = 120万円
  - 運用・教育工数:50万円
  - 合計:170万円

■ROI
  = (518 - 170) / 170 × 100 = 約205%

組込み型を使った場合、ROI 200%以上が現実的な目安です。専門ツール追加投資の場合はROIが下がる傾向にありますが、対面会議や日本語精度の付加価値で正当化される企業もあります。

製品別の最近のアップデート(2026年5月時点)

Teams Premium

  • Intelligent Recap の精度改善
  • 多言語翻訳の拡張
  • Copilot からの直接議事録参照

Gemini in Meet

  • 「Take notes for me」の日本語精度大幅改善
  • Calendar との自動連携強化
  • アクションアイテムを Tasks に自動登録

Zoom AI Companion

  • 会議サマリの構造化改善
  • 多言語サポート拡大

Notta

  • 業界別辞書プリセット追加(医療・法律・IT)
  • API 拡充
  • カスタム要約テンプレ

tl;dv

  • AI モデル選択肢の拡充(OpenAI/Anthropic/Google)
  • カスタムプロンプト機能

Otter

  • リアルタイム翻訳改善
  • Slack 統合強化

まとめ ― 製品選定のチェックリスト

最後に、AI議事録ツール選定のチェックリストを示します。

■既存環境
- [ ] 主要Web会議プラットフォーム(Teams/Meet/Zoom)
- [ ] 対面会議の頻度
- [ ] 既存ライセンス契約状況

■機能要件
- [ ] 必要言語(日本語、英語、その他)
- [ ] アクションアイテム抽出の重要度
- [ ] AIチャット機能の必要性
- [ ] カスタム用語辞書

■セキュリティ要件
- [ ] データ保管リージョン要件
- [ ] DPA 締結可否
- [ ] 監査ログの要件
- [ ] 削除依頼への対応

■運用要件
- [ ] 録音通知の運用
- [ ] 議事録の保管期間
- [ ] アクションアイテム管理ツール連携
- [ ] 社員教育の体制

■予算
- [ ] 単独SKU で追加投資 or 既存ライセンス活用
- [ ] 利用者数(一部部門 or 全社)
- [ ] 1年目・2年目以降の予算

組込み型と専門ツール型の使い分け、用途別の選び方フレームワーク、運用ルール整備の3つを押さえれば、AI議事録ツールは会議生産性の標準装備として効果を最大化できます。

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