情シス外注先の乗り換えガイド|ベンダー変更で失敗しないための引き継ぎチェックリスト
外注先を変えたいが、引き継ぎが不安で動けない
情シスの外注先に不満があっても、乗り換えに踏み切れない企業は多いです。理由は「今のベンダーしかわからない設定がある」「引き継ぎ中にサービスが止まったらどうするか」「新しいベンダーが同じレベルで対応できるかわからない」という3つの不安です。
この記事では、情シス外注先の乗り換えを安全に進めるための手順とチェックリストを解説します。
乗り換えを検討すべき5つのサイン
第一に、対応速度の遅延が常態化していることです。問い合わせへの初期回答が24時間以上かかる、緊急対応を依頼しても翌営業日まで動かない、といった状況が続いている場合は乗り換えを検討すべきです。
第二に、担当者の頻繁な交代です。半年に1回以上担当者が変わり、そのたびに同じ説明を求められる場合、ベンダー側の体制に問題があります。
第三に、提案力の欠如です。依頼した作業はこなすが、改善提案やセキュリティ強化の提案が一切ない場合、ベンダーとしての付加価値が低いと判断できます。
第四に、費用の不透明さです。何にいくらかかっているかが不明確で、追加費用が頻繁に発生する場合は、契約の見直しが必要です。
第五に、技術力の陳腐化です。クラウドサービスの最新機能に対応できない、新しいセキュリティ脅威への対策を知らないといった場合は、技術力のあるベンダーへの乗り換えを検討してください。
乗り換えプロジェクトの5ステップ
ステップ1:現状の棚卸しと文書化(1〜2週目)
乗り換えの前に、現在のベンダーが管理しているすべての情報を棚卸しします。
確認すべき項目は、管理対象のシステム・サービスの一覧、各サービスの管理者アカウント情報、ネットワーク構成図、セキュリティポリシーの設定内容、定期作業の一覧と手順書、過去のインシデント対応履歴、現在の契約内容(SLA、料金、契約期間、解約条件)です。
これらの情報が文書化されていない場合は、乗り換え前に現ベンダーに文書化を依頼してください。契約書に「引き継ぎ協力義務」が含まれている場合は、それを根拠に依頼できます。
ステップ2:新ベンダーの選定(3〜4週目)
新しいベンダーを選定する際は、現ベンダーへの不満を明確にした上で、その不満を解消できるかどうかを評価基準に加えます。
選定時に確認すべき項目は、対応速度のSLA(初期回答は何時間以内か)、担当者の固定制度(専任担当者がつくか)、月次レポートの内容と頻度、契約の柔軟性(月単位で変更・解約が可能か)、類似規模・業種の引き継ぎ実績があるかです。
可能であれば、新ベンダーに1ヶ月間のトライアル期間を設け、対応品質を確認してから本契約に移行してください。
ステップ3:引き継ぎ計画の策定(5週目)
引き継ぎの計画を現ベンダーと新ベンダーの三者で策定します。
計画に含めるべき項目は、引き継ぎ対象の業務一覧と優先順位、各業務の引き継ぎ方法(文書引き継ぎ、ミーティング、OJT)、引き継ぎのスケジュール(業務ごとの完了予定日)、並行稼働期間の長さ(推奨:2〜4週間)、管理者アカウントの移管手順です。
ステップ4:並行稼働と段階移管(6〜9週目)
新旧ベンダーが並行して稼働する期間を設け、段階的に業務を移管します。
並行稼働の進め方として、第1週は新ベンダーが既存ベンダーのオペレーションを観察し、業務フローを理解します。第2週は新ベンダーが低リスクの業務(アカウント発行、ヘルプデスク対応の一部)を担当し、旧ベンダーがバックアップします。第3〜4週は新ベンダーがすべての業務を担当し、旧ベンダーは質問対応のみに移行します。
並行稼働期間中は、新旧両方のベンダーに費用が発生します。この費用をあらかじめ予算に組み込んでおいてください。
ステップ5:完全移行と旧ベンダーとの契約終了(10週目)
並行稼働期間で問題がなければ、旧ベンダーとの契約を終了します。
契約終了時に確認すべき項目は、すべての管理者アカウントのパスワードが変更されたか、旧ベンダーが保持するデータ(ログ、設定情報等)の返却または削除が完了したか、旧ベンダーのリモートアクセス権限がすべて削除されたか、NDA(秘密保持契約)の残存義務を確認したかです。
引き継ぎチェックリスト
引き継ぎ時に漏れやすい項目をチェックリストにまとめます。
アカウント関連として、すべてのクラウドサービスの管理者アカウント情報、ドメインレジストラの管理者アカウント、SSL証明書の管理情報、VPN装置の管理者アカウントを確認します。
ドキュメント関連として、ネットワーク構成図、IPアドレス一覧、ライセンス管理台帳、セキュリティポリシー文書、定期作業の手順書、障害対応マニュアルを確認します。
運用関連として、定期作業のスケジュール(バックアップ、パッチ適用等)、ベンダーの連絡先一覧(ISP、ハードウェア保守等)、ライセンスの更新スケジュール、過去のインシデント対応履歴を確認します。
まとめ
情シス外注先の乗り換えは、計画的に進めれば安全に実行できます。成功の鍵は、現状の棚卸しを徹底すること、2〜4週間の並行稼働期間を設けること、管理者アカウントの移管を確実に行うことの3点です。
情シス365では、他社からの乗り換えを支援するための無料引き継ぎ診断を実施しています。現在の外注先に不満がある方は、まずは現状の棚卸しからお手伝いします。