オフィスの固定電話を廃止してクラウドPBXに移行する手順と判断基準
「ビジネスフォンのリースが来年切れるが、更新すべきか?」「オフィス移転を機に電話環境を見直したい」——ビジネスフォン(オンプレミスPBX)からクラウドPBXへの移行は、コスト削減とテレワーク対応の両方を実現する選択肢です。
移行を検討すべきタイミング
ビジネスフォンのリース満了: 6〜7年のリース期間満了時が最も自然な切り替えタイミング。更新すると再びリース費用が発生。
オフィス移転: 移転に伴う配線工事・電話回線の引き直しコストを考えると、移転を機にクラウドPBXに切り替える方がトータルコストが安い場合が多い。
テレワーク導入: 自宅から代表番号で発着信できる環境が必要になった。
拠点の増設・統合: 新拠点に電話回線を引く工事費用とリードタイムを考えると、クラウドPBXならアカウント追加だけで即日対応可能。
移行できないケース
以下に該当する場合、完全移行は難しく、部分的にオンプレミスを残す判断が必要です。
FAX利用が多い: クラウドPBXはFAXに対応していない(または対応が限定的な)製品が多い。FAXを多用する場合は、FAX専用回線を残すか、クラウドFAXサービス(eFax、jFax、MOVFAX等)への移行を検討。
緊急通報(110/119)の必須要件: 一部のクラウドPBXは緊急通報に非対応。従業員が常駐するオフィスでは、緊急通報手段の確保が必要。携帯電話で代替するか、緊急通報対応のクラウドPBXを選定。
通話品質の厳格な要件: インターネット回線の品質が不安定な環境では、クラウドPBXの通話品質も不安定になる。光回線の帯域と安定性を事前に確認。
番号ポータビリティ
既存の電話番号(例:03-1234-5678)をクラウドPBXに引き継げるかどうかは、元の電話回線の種類に依存します。
引き継ぎ可能な場合: NTT加入電話の番号、NTTひかり電話の番号(NTT発番の場合)
引き継ぎできない場合: IP電話番号(050番号)、他社発番の番号(KDDI、ソフトバンク等がMNPに対応していない番号)
引き継ぎの可否はクラウドPBXプロバイダーに番号を伝えて個別確認するのが確実です。
FAXの対処法
クラウドFAXに移行: eFax、MOVFAX、秒速FAXなどのクラウドFAXサービスを導入。メール添付でFAXの送受信が可能。ペーパーレス化にも貢献。
FAX専用回線を残す: クラウドPBXへの移行対象から除外し、FAX機+アナログ回線(またはひかり電話)を維持。
複合機のFAX機能を活用: 複合機がIP-FAXに対応している場合、クラウドPBXの回線でFAXを送受信できるケースもある。複合機メーカーに確認。
コスト比較の考え方
| 項目 | オンプレミスPBX | クラウドPBX |
|---|---|---|
| 初期費用 | 高い(機器+工事) | 低い(ゼロ〜数万円) |
| 月額費用 | リース+回線+保守 | ユーザー単位の月額 |
| 増設 | 配線工事が必要 | アカウント追加のみ |
| 移転時 | 再配線工事が必要 | 設定変更のみ |
| テレワーク対応 | 追加投資が必要 | 標準対応 |
| 耐用年数 | 6〜7年(リース期間) | なし(常に最新) |
30名規模の企業の場合、オンプレミスPBXのリース+回線+保守で月額8〜12万円程度が一般的です。クラウドPBXに移行すると月額4〜6万円程度に削減できるケースが多く、年間50〜70万円のコスト削減が見込めます。
段階的移行の推奨ステップ
いきなり全社一斉に切り替えるのではなく、段階的に移行することを推奨します。
Phase 1(1ヶ月): IT部門や営業チームなど、1部門でクラウドPBXをテスト導入。通話品質、操作感、CRM連携を検証。
Phase 2(2〜3ヶ月): テスト結果を踏まえて、追加の部門に展開。Auto Attendant(自動応答)やCall Queue(着信分配)を本格設定。
Phase 3(3〜4ヶ月): 全社展開。番号ポータビリティの実行。旧ビジネスフォンの撤去。
Phase 4: FAXの対処(クラウドFAX移行 or FAX専用回線維持)。旧PBX機器のリース解約。
まとめ
ビジネスフォンのリース満了やオフィス移転は、クラウドPBXへの移行を検討する最適なタイミングです。番号ポータビリティとFAX対応の2点を事前に確認し、段階的に移行すればリスクを最小限に抑えられます。
情シス365では、クラウドPBXの選定、番号ポータビリティの手続き、旧PBXからの移行プロジェクトを支援しています。お気軽にご相談ください。