OneDriveとSharePointの違いとは? 使い分けの正解と「個人フォルダに会社のファイルが溜まる」問題の解決法
Microsoft 365を導入した会社で必ず出る質問が、「OneDriveとSharePointって何が違うの? どっちに保存すればいいの?」です。
どちらも「クラウドにファイルを保存する場所」なので混乱して当然ですが、役割はまったく違います。そして使い分けを決めずに運用すると、**「会社の重要ファイルが退職者のOneDriveの中にあって消えた」**という定番の事故につながります。
この記事では、両者の違いを一言で整理し、迷わない使い分けルールと、情シスが押さえるべき設計ポイントを解説します。
一言でいうと:「個人の机」と「会社のキャビネット」
| OneDrive | SharePoint | |
|---|---|---|
| 例えるなら | 個人の机・引き出し | 会社の共有キャビネット |
| 所有者 | 各ユーザー個人 | 会社(チーム・部署) |
| 主な用途 | 自分の作業中ファイル、下書き | 部署・プロジェクトの共有ファイル、完成品 |
| 容量 | 1TB/ユーザー(標準) | 組織全体で1TB+10GB×ユーザー数 |
| 退職したら | アカウント削除とともに消える(既定30日で完全削除) | 残る(会社の資産) |
| URL | onedrive.live.com/「自分のファイル」 | 〇〇.sharepoint.com/チームサイト |
本質的な違いは機能ではなく**「ファイルが誰に帰属するか」**です。OneDriveのファイルは個人アカウントに紐づき、SharePointのファイルは組織に紐づきます。
使い分けの正解:シンプルな2つのルール
ルール1:「自分しか使わない・作業中」はOneDrive
- 作成途中の資料、下書き、個人のメモ
- 自分のPCのデスクトップ・ドキュメントのバックアップ(「既知のフォルダーの移動」機能)
ルール2:「2人以上で使う・会社の成果物」はSharePoint
- 部署の共有資料、規程、マニュアル、顧客向け提出物
- プロジェクトの成果物、契約書、請求書類
- 「自分が明日いなくなっても会社に必要なもの」すべて
判断に迷ったら「自分が退職したとき、このファイルが消えたら会社は困るか?」と自問してください。困るならSharePointです。
よくある間違い:「OneDriveの共有機能」で済ませる
OneDriveにもファイル共有機能があるため、「個人のOneDriveに置いて共有リンクを送る」運用が蔓延しがちです。これが冒頭の事故——共有していた本人の退職と同時に、リンク先のファイルごと消滅——の原因です。共有が継続的・業務的なものなら、ファイルの置き場所自体をSharePointへ移すのが正解です。
Teamsとの関係——実はTeamsの実体はSharePoint
混乱の第3要素がTeamsです。整理すると、
- Teamsのチーム内で共有したファイルの実体は、SharePoint(チームごとに自動作成されるサイト)に保存されています
- Teamsの1対1チャットで送ったファイルの実体は、送信者のOneDriveに保存されています
つまり「Teamsのチームにファイルを上げる」=「SharePointに保存する」です。現場には「チームのファイルタブに置く」と案内すれば、自然とSharePoint運用になります。逆に、重要ファイルを個人チャットで送り合う運用は「実体がOneDrive」なので、退職時消滅リスクを抱えます。
ファイルサーバー代わりに使うときの設計ポイント
社内のファイルサーバーを廃止してSharePointに移行する企業が増えています(ファイルサーバーのクラウド移行判断参照)。その際の要点だけ挙げます。
1. サイト=部署・業務単位で分ける
巨大な1サイトに全部入れるのではなく、「総務」「経理」「営業」「プロジェクトA」のようにサイト(またはTeamsのチーム)単位で分割します。権限管理・容量管理・検索性のすべてが楽になります。
2. 権限は「サイト単位」を基本に
フォルダ単位の細かい権限設定は破綻のもとです。「このサイトは経理部だけ」のようにサイト単位で設計し、例外を最小限にします。
3. 「個人OneDriveの業務ファイル」を定期巡回
運用開始後も、業務ファイルがOneDriveに溜まる現象は必ず起きます。共有リンクの多いOneDriveファイルの棚卸しや、退職予定者のOneDrive中身確認をオフボーディング手順に組み込みましょう(退職時のIT対応)。
4. 容量の考え方
SharePointの組織容量(1TB+10GB×人数)は、大容量のCAD・動画データがあると不足しがちです。容量設計と追加ストレージの選択肢はSharePointストレージの解説を参照してください。
5. 退職者のOneDriveの扱い
退職者のOneDriveは、既定ではアカウント削除後30日(設定で最大10年に変更可)で削除されます。退職処理の中で「OneDrive内の業務ファイルを後任・SharePointへ移管する」ステップを必ず入れることが、消滅事故の最後の砦です。
よくある質問
Q. 結局、社員には何と説明すればいい? A. 「作業中は自分のOneDrive、共有するもの・完成品はTeamsのチーム(=SharePoint)」の一文で十分です。これを入社時案内と全社周知に入れてください。
Q. OneDriveの容量1TBで足りなくなったら? A. まず中身が「個人の作業ファイル」かを確認してください。容量を圧迫しているのが共有資料や録画データなら、それはSharePointへ移すべきものです。
Q. エクスプローラーから使える? A. どちらもOneDrive同期アプリでエクスプローラーに表示できます。SharePointのライブラリは「同期」または「OneDriveへのショートカット追加」で従来のファイルサーバーに近い操作感になります(同期トラブルの対処はOneDrive同期されない時の解決ガイドへ)。
まとめ
- OneDrive=個人の机(本人に帰属・退職で消える)、SharePoint=会社のキャビネット(組織に帰属・残る)
- 使い分けは「2人以上で使う・会社の成果物はSharePoint」の一択。迷ったら「自分が辞めたら困るか」で判断
- Teamsのチームのファイル実体はSharePoint。「チームのファイルタブに置く」運用が事故を防ぐ
- 個人チャット共有・OneDrive共有リンクの常用は、退職時のファイル消滅事故の温床
- ファイルサーバー代替として使うなら、サイト分割・サイト単位権限・退職時のOneDrive移管手順の3点を設計する
情シス365では、SharePoint/OneDriveのサイト設計・権限設計、ファイルサーバーからの移行、社内運用ルールの策定までを支援しています。「とりあえず使い始めたが整理されていない」という状態からの立て直しもご相談ください。