【2026年8月】Microsoft 365アップデート|SMS・音声MFAの廃止とパスキー既定化
本記事の情報は2026年8月11日時点のMessage Center・Microsoft 365 Roadmapの公開情報に基づきます。ロールアウト時期はテナントの構成やリリースリングによって前後します。自社の実際の適用時期は、管理センターのMessage Centerで対象メッセージIDを確認してください。
今月の要点
2026年8月のMicrosoft 365で、中小企業の管理者が対応を迫られる変更は大きく3つです。認証方式の強制的な移行(MC1426371)、Defender for Cloud Apps File Policiesの廃止期限の確定(MC1417993)、**Teamsの外部連携制御の厳格化(MC1423114)**です。
いずれも「気づかないうちに切り替わって、業務が止まってから気づく」種類の変更です。特に1つ目は、対応を怠るとログインできないユーザーが発生します。
SMS・音声MFAの廃止とパスキーの既定化(MC1426371)
Entraで、SMSと音声通話による多要素認証が廃止され、パスキー(FIDO2)が既定の認証方式になります。2026年7月から段階的に展開されています。
実務上の重要な点は、廃止が適用された後は元の構成に戻せないことです。SMSでのMFAを使い続けているユーザーが残っていると、切り替わったタイミングでサインインできなくなります。
管理者が先にやること
- 現在のMFA方式の棚卸し — 誰がSMS・音声認証を使っているかを認証方法レポートで確認します。全社的にAuthenticatorへ移行済みのつもりでも、入社時期の古いユーザーや、スマートフォンを業務利用していない現場部門にSMS依存が残っていることが多いです
- 移行先の決定 — Microsoft Authenticatorアプリ、またはパスキー(FIDO2セキュリティキー・端末内蔵の生体認証)へ移行します。フィッシング耐性を重視するならパスキーが優位です
- 条件付きアクセスポリシーの見直し — 認証強度を指定しているポリシーがある場合、廃止される方式を前提にした条件が残っていないか確認します
- ヘルプデスク手順の更新 — 「MFAが通らない」という問い合わせが集中するタイミングになります。復旧手順と、管理者側での一時的な回避方法を事前に整理しておきます
スマートフォンを持たない・業務利用させていない現場がある企業では、FIDO2の物理セキュリティキーを配布する判断が現実的です。台数分のコストは発生しますが、SMS廃止後の代替手段としては確実です。
認証方式の選択基準はM365のMFA認証方式を比較する記事、パスキーの仕組みはパスキー認証の解説記事で扱っています。
Defender for Cloud Apps File Policiesの廃止(MC1417993)
Defender for Cloud AppsのFile Policiesが廃止されます。廃止期限は2027年1月6日で、Microsoft Purviewへの移行が推奨されています。
期限まで約5ヶ月ありますが、File Policiesでファイルの外部共有監視やDLP相当の統制をかけている場合、移行しないとその監視が止まります。ポリシーが自動的にPurviewへ引き継がれるわけではありません。
対応の順序は、①既存のFile Policiesが何を監視しているかを洗い出す、②各ポリシーをPurviewのどの機能で代替するか対応付ける、③非本番環境で検証してから切り替える、という流れになります。コンプライアンス要件で監査証跡を求められている場合は、切り替え前後で検知内容が変わらないことの確認まで含めてください。
Purview側の設計はPurviewによる情報漏洩対策の記事が参考になります。
Teamsのフェデレーションチャット制御が細かくなる(MC1423114)
外部ドメインのユーザーとのチャットについて、誰が開始でき、誰が参加できるかを、より細かく制御できるようになります。2026年7月から9月にかけて展開されます。
これまで「外部アクセスを許可するかどうか」の粗い設定しかなかった部分に、粒度の高い制御が入ります。既存の外部アクセス設定を棚卸しし、業務上必要な取引先ドメインを明示的に許可する構成へ寄せる良い機会です。
あわせて、Exchange Onlineで他テナント宛に送信したメールの回収が可能になります(MC1423106)。ただし受信側テナントがオプトインしている必要があり、送信側の操作だけでは成立しません。eDiscoveryのホールドとの兼ね合いもあるため、法務・コンプライアンス部門への共有が必要です。
Teamsのプライベートチャネルとホワイトボードの保存先変更
管理者が把握しておくべき構造的な変更が2つあります。
プライベートチャネルが共有メールボックスを使う構成に変わります。 これにより、チームのMicrosoft 365グループに設定したコンプライアンスポリシーが、プライベートチャネルのメッセージにも適用されるようになります。あわせてプライベートチャネルの上限が緩和され、1チームあたり最大1,000チャネル、メンバー上限は250名から5,000名へ拡大します。
Teamsのチャネルタブで作成したホワイトボードが、作成者のOneDriveではなくチャネルのSharePointサイトに保存されます(2026年9月下旬から)。 保存先が変わることで、DLP・秘密度ラベル・保持ポリシー・eDiscovery・監査ログといったPurviewの統制がホワイトボードにも効くようになります。これまで個人のOneDriveに散在していた図やアイデアが統制対象になるため、ガバナンス上は前進です。
同様に、PlannerタブがTeamsの共有チャネル・プライベートチャネルで使えるようになり、データはチャネルのSharePointに保存されます。
今月のアクションアイテム
| 優先度 | 対応 | 期限 |
|---|---|---|
| 最優先 | SMS・音声MFA利用者の洗い出しと移行 | 段階展開中(テナント次第) |
| 高 | Defender for Cloud Apps File PoliciesのPurview移行 | 2027年1月6日 |
| 中 | Teams外部アクセス設定の棚卸し | 2026年9月まで |
| 中 | ホワイトボード保存先変更の周知 | 2026年9月下旬 |
まとめ
- 今月の最優先はSMS・音声MFAの廃止(MC1426371)。廃止後は元に戻せず、対応漏れはサインイン不能に直結する
- まず認証方法レポートでSMS依存ユーザーを特定する。移行済みのつもりでも現場部門に残っていることが多い
- スマートフォンを業務利用していない現場には、FIDO2の物理キー配布が現実的な代替になる
- File Policiesの廃止期限は2027年1月6日。自動移行はされないため、ポリシーの棚卸しから始める
- Teams・ホワイトボード・Plannerの保存先変更は、Purviewの統制が効く範囲が広がる変更。ガバナンス上は前進
- ロールアウト時期はテナントごとに異なる。自社のMessage Centerで対象メッセージIDを確認すること
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