SCS評価制度 最新動向まとめ【2026年8月版】― 公表済み情報と、これから出る文書のスケジュール
SCS評価制度の全体像については SCS評価制度 対策ガイド もあわせてご覧ください。
SCS評価制度(サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度)は、2026年3月の制度構築方針の公表以降、運用開始に向けた実務的な文書が段階的に出てくるフェーズに入りました。制度の概要解説は各所に出回っていますが、「今どこまで決まっていて、次に何がいつ出るのか」を追えている企業は多くありません。
この記事は、2026年8月1日時点の現在地を一次情報ベースで整理したものです。準備計画の見直しにお使いください。
これまでの経緯(2026年)
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 3月27日 | 経済産業省・内閣官房 国家サイバー統括室(NCO)が**「SCS評価制度に関する制度構築方針」**を公表 |
| 4月21日 | IPAが制度サイトを公開。**★3・★4の要求事項・評価基準(Excel)**を掲載 |
| 4月27日 | 経産省・NCOが制度をかたる不適切な勧誘への注意喚起を公表(IPAは4月30日に掲載) |
| 5月29日 | 経産省が特設サイトを公開。セキュリティ専門家・評価機関・技術検証事業者の要件に関する情報を更新 |
| 6月10日 | 第1回 運営審議委員会を開催(配付資料は6月12日に公開) |
| 6月26日 | IPAがお助け隊サービス(新類型)実証事業のサービス提供事業者公募を公示(7月30日締切) |
| 7月7日 | IPAがメールニュースの配信登録を開始 |
| 7月8日 | 第2回 運営審議委員会を開催(配付資料は7月13日に公開) |
制度の骨格(★3・★4の要求事項と評価スキーム)は3〜4月で固まり、5月以降は「誰が評価するのか」「どう申請するのか」という運用側の詰めが進んでいる、というのが大きな流れです。
運営審議委員会とは
IPAが設置した、制度の運営方針や制度文書類の策定を審議する委員会です。委員は7名で、委員長は満塩尚史氏(順天堂大学 健康データサイエンス学部 准教授)。第1回(6月10日)、第2回(7月8日)ともに配付資料と議事要旨がIPAサイトで公開されています。
ここで審議されている「制度文書類」が、後述する運営規程・登録規則・申請方法などにあたります。制度の細部を先読みしたい企業は、委員会資料が最も早い情報源になります。
これから公表される文書とスケジュール
IPAが公表している予定は次のとおりです。
| 時期 | 公表予定の内容 |
|---|---|
| 2026年8月頃 | 制度規程、セキュリティ専門家・評価機関の登録に関する規則、評価機関・技術検証事業者の満たすべき要件の詳細 |
| 2026年10月頃 | ★3・★4の申請方法、要求事項・評価基準の解説書、取得ガイド |
| 2026年12月末頃 | 評価機関の一覧、制度の研修を実施する研修事業者の一覧 |
| 2027年1月以降 | セキュリティ専門家の一覧 |
| 2027年3月頃 | ★3・★4の運用開始(申請受付) |
2026年8月5日時点の確認: 上表の「2026年8月頃」に予定されている制度規程・登録規則は、IPAサイトでまだ公表されていません(同サイトの更新履歴は7月13日が最新)。なおIPAの制度詳細ページでは、評価用ガイド等の公表時期を「2026年度下期(10〜3月)」と幅を持たせた記載にしています。上表の月次の目安は制度構築方針のロードマップに基づくもので、実際の公表は前後し得ます。 | 未定 | ★5の要求事項・評価基準・評価スキーム・開始時期(検討中)/申請・登録に係る費用 |
このスケジュールから読み取れる実務上のポイントは3つです。
1. 「対策の中身」はすでに確定している。 ★3の要求事項26項目(評価基準81件)、★4の43項目(153件)はExcelで公開済みです。10月の解説書を待たないと動けない、ということはありません。今から実装を始められます。
2. 「誰に確認してもらうか」はまだ決められない。 専門家の一覧が公開されるのは2027年1月以降、評価機関は2026年12月末頃です。★3の専門家確認、★4の評価機関選定は、年末以降にしか正式には確定できません。逆に言えば、それまでに自社側の準備を終えておくのが理想形です。
3. 費用は制度側からまだ示されていない。 申請・登録費用は「今後公開予定」の段階です。総額を見積もる際は、この部分を未確定として別枠にしておく必要があります(費用の内訳の考え方)。
2026年4月の注意喚起は必ず押さえる
経産省・NCOは4月27日、「取得しないと取引が制限される」「今すぐ取得しないと入札から排除される」といった説明を用いた不適切な勧誘への注意喚起を公表しました。制度は任意であり、商取引を規制するものでも、特定製品の導入を求めるものでもありません。
登録の枠組み自体が2026年8月以降に公表される段階なので、現時点で「認定支援機関」を名乗れる事業者は存在しません。詳しくは「SCS評価制度に対応しないと取引を切られる」は本当かにまとめています。
お助け隊サービス(新類型)の進捗
中小企業が★3・★4を安価に取得できるようにするための「サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)」は、実証事業のフェーズにあります。IPAは2026年6月26日にサービス提供事業者の公募を公示し、7月30日に締め切りました。
つまり2026年後半は、採択された事業者が実際にサービスを提供し、その結果を制度に反映していく期間になります。中小企業側の利用条件が固まるのはその先です。現時点で「お助け隊の新類型を使えば安く取れる」と確定的に見込んで計画を立てるのは早く、自力または通常の外部支援で進める前提を置き、使えたら安くなる、という順序で考えるのが安全です(詳細:お助け隊サービス新類型の解説)。
企業側のアクションカレンダー
2027年3月頃の申請受付開始から逆算した、標準的な進め方です。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 2026年8〜9月 | セルフチェックで現状把握。目標★と評価範囲を決定。8月公表の制度規程・登録規則を確認 |
| 2026年10〜12月 | 技術的対策の実装(M365/GWSの設定)。10月公表の解説書・取得ガイドで要件解釈を照合 |
| 2027年1〜2月 | 文書化と証跡の整備(文書化テンプレート、証跡・監査ログ)。公開された専門家・評価機関から確認先を選定 |
| 2027年3月〜 | 申請。以降は維持・年次更新フェーズ |
技術実装に2〜3か月、文書・証跡の整備に1〜2か月というのが実感値です。8月に着手すれば余裕を持って間に合い、年明けからの着手では慌ただしくなる——この感覚で計画を立ててください。
情報の追い方
制度の一次情報は次の3か所に集約されています。
- IPA SCS評価制度サイト ― 更新情報がトップに掲載されます
- よくある質問(FAQ) ― スケジュールと未確定事項の確認に最も使えます
- メールニュース ― 2026年7月7日から配信開始。更新の取りこぼしを防げます
なお制度に関する問い合わせは、IPAがメールでのみ受け付けており、電話対応は行っていません。「IPAから電話がきた」という時点で不審と判断できます。
情シス365による支援
情シス365では、制度の公表状況をウォッチしながら、御社の準備計画を随時アップデートする形で支援しています。
- 現状診断: 公開済みの要求事項・評価基準(Excel)と現状を突き合わせ、ギャップと優先度を可視化
- 実装代行: Microsoft 365 / Google Workspaceの設定を中心に、追加投資を最小化して要件を満たす
- 文書化・証跡整備: 規程・台帳・手順書と、専門家確認に耐える証跡の形を整える
- 公表物への追随: 8月の制度規程、10月の解説書・取得ガイドの内容を反映して計画を見直し
「まだ様子を見るべきか、もう動くべきか」という段階のご相談も歓迎です。
まとめ
- 対策の中身(要求事項・評価基準)はすでに公開済み。解説書を待たずに実装を始められる
- 2026年8月頃に制度規程・登録規則、10月頃に申請方法・解説書・取得ガイドが公表予定
- 評価機関の一覧は2026年12月末頃、専門家の一覧は2027年1月以降。確認先を決められるのは年末以降
- ★3・★4の運用開始は2027年3月頃。申請・登録費用と★5の詳細は未公表
- 4月の注意喚起は必読。制度は任意であり、現時点で「認定支援機関」は存在しない
- お助け隊新類型は実証事業フェーズ。当てにせず計画し、使えたら安くなるという順序で考える
参考リンク: